THE GAME IS OVER ──ああもう、一体何が起こっているんだ!
男はそう叫び出したいのを必死に堪え、なんとか笑みを貼り付けつづけた。
西の国の北部、北の国との境の街の片隅にあるカジノ。取引の場所として選んだこの店とは、男は深い関係にあった。男は西の国の資本家で商売人だ。このカジノの経営にも裏で一枚噛んでおり、本来ならば今頃男の前には多少のイカサマを駆使して積み上がったチップが並んでいるはずだった。
「……おっと、また俺の勝ちだな。旦那は客人のもてなしが大層上手いらしい」
テーブルの向こう側の男は長い脚を組みかえて不敵に笑う。バイカラーの髪に鼻筋を横断する大きな傷痕。仕立ての良いスーツを纏う男は、今宵の取引相手──北の国、死の盗賊団の頭領であるブラッドリーだ。
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