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    s_toukouyou

    @s_toukouyou

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    s_toukouyou

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     血涙を流す神父の呼びかけに応えて、黄金の獣が姿を現す。
     公的にも、私的にも重要なシーンに、座に坐す蛇の本体も注視していた。
     人の身には重すぎる重圧と共に降り立った獣の影は、影であれども輝かしい。風になびく長い金糸が、夜の中一際目を奪う。
     「さて、ここまで来れば計画に必要不可欠なイベントは無事こなせるだろう」と、黄金の光に陶酔しつつも考えていた水銀は、違和感に気が付いた。
     誰かの手を引いているかのように、獣の手が空に向けられている。
     指先からじわじわと新たな人物が姿を持ち始めていた。重なり合った手、黒い軍服に包まれた腕。
     妙な胸騒ぎがすると水銀は思わず身を乗り出した。乗り出したところで、よく見えるようになるわけでもないので、意味のない行いだが。
     完全に姿を表した人物は、獣と良く似ていた。良く似ているというか、服装と髪の長さが違うだけで同じ顔だった。
     え、と神父の動きが止まる。逃げようとしていた水銀の息子は現実を受け入れられない表情になっていた。座の蛇も似たようなものである。
     観測を一度切り上げた蛇は天を仰いで、目元を押さえた。何だ今の?
     深呼吸をして観測し直したが、やはり黄金の獣がふたりいる。
     …………。
     ふたり!?!?!?
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