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    s_toukouyou

    @s_toukouyou

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     蓮は考え込みつつも、熱したフライパンにバターを落とした。じゅわと音が立つと同時に、香ばしい匂いが漂った。ボウルの中の卵液を箸でちゃかちゃかとかき混ぜて、バターで塗れたフライパンに流し込む。
     いままで通り二人分の食事を用意しているというのに、そばに立っている人が違うだけで、どうにも落ち着かない。
     卵液が固まり切る前にフライパンを傾けて、ふちにそって形を整えていく。ある程度火が通ったのを確認して、先程つくったチキンライスの上にのせる。真ん中から割るように包丁を滑らせれば、ふわとろオムライスの出来上がりだ。
     少し悩んで蓮はケチャップの容器をマリィに差し出した。マリィがぱあっと表情を輝かせる。料理している間、じっと見つめられていた。
     ご機嫌に鼻歌を歌いながら、オムライスにケチャップをかけているが、その鼻歌、どうにも聞き覚えがある。さすがに血が欲しいと口ずさみながら赤い液体をかけないでほしい。

    「レンはたべるのが上手だね」
     肉体を得たばかりだからなのか、それとも元からなのか、マリィは食器を使ってものを食べるのが下手だった。
     スプーンだとしてもぽろぽろとご飯をこぼすのを見かねて、食べさせてあげることにした。
    「まあ、慣れれば簡単なことだよ」
     一口分をスプーンですくって口元に差し出せば、マリィは素直にぱくりと食べる。
     口元についた米粒を取ってやりながら、マリィが食べている合間に自分の分も食べていく。
     昔、自分がしてもらったことだ。
    「レンはラインハルトと一緒に暮らしてたんだよね」
    「ああ……ええと、もう60年くらいかな。正直最初の方は年の概念わかってなかったから、何年かずれてる気がするけど」
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