ミンミンミンとセミの鳴き声が響き渡る。茹だるような暑さの夏の日に、類はいつも通り屋上の日陰がある所に座り、次のショーに使うロボット達のメンテナンス作業をしていた。ポツリ、額から流れる汗がロボットに落ち、1度作業の手を止めた。流石にこの暑さには堪えるものがある。熱風だと知りつつも、涼しさを求め手を仰ぐ。
(司くんまだかなぁ)
学級委員の集まりで、司はまだ来なかった。そろそろメンテナンス作業をしながら待つのも少し疲れたな、と類は背伸びをして、ポケットに入れておいた物を取り出した。それは今度の休日に行われるミュージカルショーのチケットだった。前に司が1度はこの劇団のを目にしておきたいと言っていたので買ったのだ。司と類、もちろんショーが良く見える席を2人で。誘うのを想像するだけで胸が高鳴った。どんな反応をしてくれるだろうか、1番に驚きか、喜びか。……断られなければ良いんだけど。そんな弱音は期待で押し潰した。
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