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    sh__aomedohu

    @sh__aomedohu

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    sh__aomedohu

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    17歳あおめくんが夢だと思って今のあおめくんの部屋に数時間だけ滞在するお話を受信しました。
    リプツリーより少し肉付けしてます。

    朝が来るまで***

    薄暗い部屋のベッドで目が覚めた。
    まだ夜明け前なのか、青白い光がカーテンの隙間から漏れている。
    常夜灯の灯りが着いていない事に気付くと、次第にひゅうひゅうと呼吸が乱れ冷や汗が流れていく。

    ボクは慌てて薄く明かりの射す窓辺のカーテンを開いた。

    窓の外は知らない景色が広がり思わず後退りをする。

    ここはどこ??

    震える手でぎゅっと自分自身を抱き締めた。

    恐る恐る薄暗く青白い微かな光を浴びた部屋を見回す。

    自分が先程まで眠っていたベッドはベッドカバーなどは違えど同じ天蓋付きの可愛らしいベッド。
    もっとよく観察する為、またベッドへ近付きベッドサイドにあったライトを着ける。

    オレンジ色の暖かい光に少しだけほっとする。

    優しい灯りに照らされたクリスマスツリーのオルゴール、可愛らしいガラスの靴の中にはキラキラと指輪が輝いている。

    きょろきょろと部屋を見渡すと

    見た事のある家具と知らない家具
    見た事のあるうさぎのぬいぐるみと知らない犬のぬいぐるみ。

    知らない部屋。

    ボクの部屋の様な、ボクの部屋じゃない様な

    もしかしたら夢なのかも知れない。
    ボクが暗いお部屋で眠れるはずがないから

    このまま日が昇るのを待とうかな。


    夜明け前の静かな部屋はなんだか物悲しく思えてしまう。

    机には可愛らしい装丁の手帳が置いてありパラッと捲ってみる。

    ボクの筆跡、ボクの好きなキャラクター、カレンダーには知ってる人の名前、知らない人の名前。
    デートやおでかけ、コンサート。

    カレンダーを見るとボクの時代と違うことが解る。約6年くらい先。

    未来…?ここは未来の、ボクの部屋?

    また部屋をきょろきょろと見回す。
    確かに、ボクが好きな物で溢れた可愛らしいお部屋。

    目をカレンダーに戻すと、随分予定がたくさん詰まっていた。

    ベッドへ戻り腰掛けてぼんやりとそれらを眺める。

    未来のボクは、随分楽しそう。恋人も友達もたくさん居るんだね。
    今日が何日か解らないけれど、デートの日にたくさんハートか描かれてる。

    とても良い夢だな…本当にそうならいいのに。

    怖い部屋では無いみたい。

    ボクの理想とか願望とかそう言うのが詰められてるお部屋。
    夢だもん。理想とか願望が詰まってて当たり前かも知れない。

    なんだか幸せな手帳を見るのが辛くなってしまって、ぽすんと枕に顔を埋める。

    眠たくなる様な優しくて甘い匂い。

    ピローミストかサシェか解らないけれど、未来のボクも不眠気味なのは変わらないみたい。


    少しずつ白んでいく窓の外に目を細め、手帳をベッドサイドへ置く。

    外の明かりを取り込んだガラスの靴と指輪がキラキラと輝いている。

    手帳の中に書かれていた恋人に貰ったのかな?
    ……大人のボクは、どんな風に過ごしてるんだろう?

    未来のボクは恋人さんに、過去の事や汚いボクの事をどんな風に話したんだろう?

    あ、そうだ、これは夢だった。
    こんなに汚いボクが愛されるわけが無い。
    …夢ならずっと、ここに居たいなぁ

    そしたら、好きでもない人達の相手をすることも無いし、どんどん快楽に溺れていく自分を知ることも無いんだ。
    ……でも、もうそれでも良いかなって思ってるんだけどね。気持ちいい事は楽しいことでしょ?

    …でも、良いなぁ、夢の中ボク。
    この場所をちょうだい。ボクを愛してくれるこの場所をちょうだい…


    ゆっくりと朝の日差しが部屋へと注がれ、その眩しさに目を閉じる。

    ポロッと何かが零れてそれが涙なのだと気付く。
    それからは目が溶けてしまいそうなほど泣いて、きっとそのうち海になるんだと思いながらボクは夢の中でまた眠りについた。

    朝が来たら眠ってしまうから、きっとこの幸せな未来の夢は終わってしまう。
    目が覚めていつものボクの生活が始まる。

    ねぇ、今日は誰が相手?


    ****


    ピピピピとアラームが鳴る。

    はっ!と身体を起こすと、何だか目が腫れている気がする!

    「ほにゃっ!?今日デートなのに!」

    眠りながら泣いちゃってたのかな?
    あまり覚えて無いけれど、寂しい夢をみたのかも。

    せめて約束の時間までには赤い目が治りますように。

    愛する貴方の前では、1番可愛くありたいから。


    ***

    「ねぇ、先生。この間、ボクの未来の夢を見たの。とっても幸せそうだった…」

    A先生は優しく目を細めて「どんな夢だった?」と訊く

    幸せな手帳の話、恋人の話、そうだったらいいなと思う未来。

    …ボクは…大人になんかなりたくないんだけど…そんな未来が、もしもあるのなら…

    もう少しだけ、生きてても良いのかな…?


    ボクは、生きてても良いのかな?



    *****
    あとがき

    ニャル様の気紛れで、17歳のあおめくんが未来のあおめくんの部屋に来た事で
    実は生きる希望になるキッカケになったのでは?と思ったり。
    あおめくんは大人になるにつれ、この時の記憶を少しずつ忘れていってしまったけれど、シェアハウスに訪れた13歳と17歳のあおめくんの僅かな記憶により
    『ボクは王子様(未来の恋人)に会わなくてはいけない』と心の深い深い所で想い続け、シェアハウスに導かれたのかも知れないなと思うそんな夜でした。
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