誰も知らない革命(2)「おかえり、ギルモアくん!」
扉を開けた瞬間、廊下の向こうから歩いて来た夫に出迎えられる。ギルモアは帽子を脱いで玄関脇に置いてあるラックに引っ掛けた。
「ただいま帰った」
昼間、ピシア本部で会ったばかりだというのに夫はとても嬉しそうだ。コートも脱いでいないのに、満面の笑みを浮かべる夫にギュッと抱きしめられ、お腹空いたでしょ、早く早くとリビングに促される。
リビングルームの扉を開ければ懐かしい匂いがした。独特の我が家の匂いだ。そしてテーブルの方から漂ってきた美味しそうな匂いの正体は、やはりミネストローネであった。ギルモアが若い頃から好む、夫の手料理だ。
コートをクローゼットに仕舞い、ダイニングテーブルの椅子に腰掛ける。料理の器に触れると、出来立てらしく温かかった。
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