とある基地の物語基地、それはあの人マスターによって生み出された俺たち貴銃士の拠点であった。
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ケンタッキー・ロングライフル。
それが俺の本体。そして俺自身でもあった。目覚めたのは気に食わないアイツ、ブラウンベスの次。なぜ気に入らないか?約200年前にあった独立戦争の敵であったからだ。独立戦争でアメリカが自由を勝ち取っても、あいつの事は嫌いなままだ。
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貴銃士が増えてからもマスターが
「同じ時代でグループにした方が仲良くできるでしょう?」と
少しお節介な気もした。独立戦争グループに部屋を分け、嫌でもブラウンベスと同じ部屋になってしまったのだ。そうして俺はブラウンベスに向かって舌打ちと共に「ここから先に入ったらぶちのめすからな!」と言った。
ブラウンベスは顔色ひとつ変えず
「ああ、その言葉そのままそっくり返してやろう.........それに、、まぁいい」と言い捨て部屋を出ていった。
……なんだってんだ! 何が言いたかったのか理解できないまま、この日から俺とブラウンベスは顔を合わせれば喧嘩ばかりするようになった。
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ある日の事だった。
ブラウンベスに対して、俺はいつもより手荒く対応してしまった。ブラウンベスは鼻血を出しながら倒れてしまったのだ。
慌てて駆け寄り、確認の為、手をブラウンベスの額に当てると、奴は目を閉じながらこう言った。
「……お前、手冷たいな、気持ち良い……」
「えっ!?あ、当たり前だろうが!!何を言ってるんだよ!!」
俺は慌てるあまり、つい声を張り上げていた。
すると、ゆっくりと瞼を開いたブラウンベスは口角を上げて笑った。
「ふっ……冗談だよ、ばーか」
「~ッ!!!!」
その時、何故か心臓が大きく跳ねた気がした。
なんとも言えない感情に襲われている間に、ブラウンベスはそのまま意識を失ってしまったようだ。
俺は焦りながらも、医務室へと運んだ。
「クソっ冗談かそうじゃないのかハッキリしろ!」
医務室に行く途中、俺は意識の無いブラウンベスを担いでいた。
コイツ重いし、汗臭ぇ……。
だが不思議と悪い気分ではなかった。
その後、すぐに目覚めて元気になったブラウンベスを見て安心したが、どうにも調子が狂う。今までこんな事無かったはずなのに。
それからというもの、俺はずっと落ち着かない日々を送っていた。
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ある日の夜中、俺は目が覚めた。何か音が聞こえてくるような気がする…… 耳を傾けてみると、誰かの声が聞こえる。
(ん?誰だ?)
声の主を探すため起き上がると、そこにはブラウンベスがいた。
ベッドの横にある椅子に座っているようで、こちらには背を向けた状態になっている。
「……好きだ、ケンタッキー」
一瞬聞き間違いかと思った。いや、絶対そうだろこれ。
だってあの野郎がそんな事を言うわけがない。眠いを擦りながら口を開けた
「嘘だろ……?」
「……お前っ!起きてたのかよ!?」「寝言ならもっとマシなこと言ってくれねェかな〜?」
「……うるせぇな」
顔を赤くしながらそっぽ向く姿を見ると、さっきの言葉は本当なのかと思う。しかし、まだ信じられない。本当にアイツが俺の事を好きだなんて……
「なぁ、こっち向けって」
「嫌だね」
「じゃあ命令だから、振り向いてくれ」
「……これで、いいか?」
ようやく俺の方へ向き直してくれた。
そして、俺は奴の顔に手を伸ばし、頬に触れた。
「……なぁ、ほんとに俺のこと好きなのか?夢とかじゃなくて?」
「しつこいぞ!好きって言ってんだからそれで十分だろうが!」
「そうだけどよ……」
そう言いながら、俺はブラウンベスの唇に触れるだけのキスをした。突然の出来事に驚いたのか、目を見開いて固まっている。
「おい!いきなり何すんだよ!」
「何って、ただの確認」
「はァ!?」
「まぁ、これからよろしく頼むぜ」
こうして俺たちは恋人同士となったのである。
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