瓦礫の隙間から差し込む夕日に目が覚めたとき、頼人はまず夕飯の心配をした。
腹が減った、というわけではない。その日は両親が夜遅くまで働くということで、夕飯は頼人がつくらねばならなかった。任務がある日くらい姉が作ってもいいんじゃないかと頭をよぎったが、すぐに思いなおした。夕飯が出されなければ姉は何も食べないかもしれない。健康の基本は、規則正しい食生活。オーヴァードでもそうでなくても、そこは一緒だ。
頼人は背中におぶさる瓦礫をよけ硝煙のにおいが残る施設から外に出た。UGNに迎えを頼もうと通信機を取り出すが、ひしゃげて使い物になりそうにない。支部までは歩いて3時間ほど。支部に帰って報告書をあげて、それから家に戻るとなると、夕食にありつけるのは日をまたいだ頃になりそうだ。やはり今日は姉に作ってもらおう。そのためには、ともかく支部に戻って連絡をしないといけない。
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