ロナルド少年が女装をしていたドラルク少年に初恋を奪われる話 ロナルドの初恋は年上の笑顔が可愛い女の子だった。
ほっそりとした子で、ふわふわのフリルが溢れんばかりについた可愛らしいドレスから頼りない腕や足が見え隠れし、顔色も悪かったが、大きなリボンのついた帽子がその表情のほとんどを隠していた。それでも見える口元はいつも微笑んでいた。
「ねえ、いつかきっと会いに来てね」
少女は花のように笑ってロナルドにそう言った。その笑顔にロナルドは撃ち抜かれ、それからずっと、恋に落ちたままでいるのだった。
ロナルドは小学生低学年くらいの時に埼玉の田舎で過ごしたことがある。遠縁の親戚の家で過ごしたのだが、それがどういった事情だったのかは覚えていない。一時的なものだったし、その親戚もそれから数年のうちに亡くなってしまい、ロナルドはその地との縁を失ったのだった。ともあれロナルドは一時的にその田舎で夏休みを過ごした。
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