吸血鬼ドラ氏の死にたくない一日 数日前から付き合いはじめたドラロナ。
怠さの残る体を起こし、ロナが食事の席に着くと目の前に出される素うどん。
「素うどん?」
「なんだ、手抜きとでも言いたいのかね?」
「いや、珍しいなって」
「…まぁ、リスクは最小限にしたくて」
「ふぅん…?」
それから食器の片付け、掃除、洗濯。会話も嫌味の応酬も普段通り。しかし、洗濯カゴを持って歩くドラの姿をソファーから眺めて、はたと気づく。
(遠い…)
わざとではないかもしれない。それでも効率がいい動線を考えると不自然な遠回りだった。
(俺に近づこうとしない)
あからさまではないが、自然でもないその行動が引っかかる。人を爆弾扱いしやがって。
「…………………」
どうせ大した理由なんてないだろう。何かの占いの結果が『ゴリラに近づかないように!』だったのかもしれない。誰がゴリラだ、ぶっ殺すぞ。
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