「何をそんなにニヤついている」
先程から、公子殿の口許が緩んでいるのをなんとか保とうとモゾモゾと動いているのが気になる。
…確認できる範囲で着崩れも起こしていないし特に何もないように思うのだが。
「いや、あの、先生がさ…」
「何だろうか」
原因がわからず聞き返したところで吹き出してしまった
「あはっはは…ごめっだって先生がそんなに笑顔で歩いてる事ないから釣られちゃってね」
「ん、笑っていた、だろうか」
「自覚ないの!?あっははは」
腹を抱えて、生理的に出た涙を拭う。
そこまで表情筋が緩むほどに嬉しかったのだろうか。いや、今日の日が来るまでに少なからず気持ちは急いていた。
それは昔、まだ稲妻が鎖国などしていない時代。花火と言うものを、天からみたことがある。それは孤独で。
1849