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    ぴよ鳥

    うちのこ創作の置き場。
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    ぴよ鳥

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    サフィーとモブ女性のお話。らくがき。

    ##サフィー

    女性嫌いサフィーのお話 今日は良い天気だ。
     見上げた空は澄んでいて、雲ひとつない晴空。
     きらきらと星は輝いて、はっきりと見える月が美しい。

     夜が好きだった。
     いや、月光浴をするのが好きだと言うべきか。
     月がよく見える日は外に出て、月明かりの下でぼうっとしたり、読書をして過ごすのが日々の楽しみでもあった。
     グリダニア旧市街の端の端。こんな夜更けに人など来ないであろう場所。
     何をするわけでもなく、ただただ月を眺めていた。側から見れば、おかしな人がいるように見えるだろう。だけどこの場所ならばそのような心配もいらない。と思ったのだが。
    「あの……何しているんですか?」
     まさかここで声をかけられるとは思っていなかった。油断していたため一瞬ビクッと反応してしまい、少し恥ずかしさを感じながらもゆっくりと背後を確認した。その人物を見て、思わずため息を吐いた。
     そこには見知らぬミコッテの女性が立っていた。茶色の髪の毛をツインテールに結った相手の仕草は少し怯えているようにも見えるが、でもどこか興味津々といった様子だった。
     俺は昔から女性が苦手だ。ここは適当にあしらって立ち去るのが最善だろう。本当は邪魔をしてくれるなよと言いたかったが、面倒ごとになると厄介なので仕方なく言葉を選んでやるとする。しかしこちらが返答しようとした時に相手がまた口を開いたので、俺は開きかけた口をつぐんだ。
    「もしかして、お邪魔してしまったでしょうか?」
     そうだな、邪魔だよ。そう言いたかったのを我慢して、別に、と素っ気ない態度でこぼす。変に気を遣って微笑んだりしようものならば勘違いするヤツもいるから本当に面倒だ。なんだか興ざめだ、さっさと部屋に戻って読書でもしよう。女性の横を通り過ぎ、宿屋へ向かおうとするが、それは叶わなかった。
    「でしたら少し、話を聞いてくれませんか?」
     その言葉と同時に、俺の右腕は女性に掴まれていた。
     反射的に表情が強張って、それを見た相手は僅かに怯えの顔を見せたものの、腕を握る手の力を強めてきた。なんだこの女、意地でも付き合わせるつもりか。
     本当は嫌で嫌でしょうがないが、聞いてやらなければ離してくれそうもなかったので、仕方なく頷いてわかったから離してくれとお願いした。その時の相手の顔といったら、心底ホッとしたような表情だったが、面倒なことになったなと思うとこっちは深いため息しかでなかった。
     話を聞いてやると、どうやら変な男に目をつけられ、付きまとわれているらしい。で、逃げてきたのがここだったと。そして、助けて欲しいと。
     これって、俺が心底関わりたくないと思っている案件な気がするんだが、気のせいではないよな?
     不安そうに辺りを見渡しつつ、俺の陰に隠れる女性を見ると、確かにまあ可哀想だし助けてやりたくないわけではないが、自分が男女のいざこざに巻き込まれるのは本当に本当に嫌なのだ。ましてや、自分の大切な時間をめちゃくちゃにされてまでやることなのか?そんな葛藤があったが、考えているうちにタイミングよく何者かが現れた。女性は俺の後ろに隠れ、そいつを指差した。例の男のお出ましってわけか。仕方ない、さっさと終わらせて帰ろう。
    「おいてめえ、オレの女を横取りしようってのか?」
     女性に指さされたガラの悪そうなヒューランの男が、喧嘩腰で突っかかってきた。いかにもバカって感じで、正直こんなやつと話すことなど何もないと言いたいところだが、話さずに殴るのはよろしくないので一応返答はしてやる。
    「オレの女? この女性はあんたに付きまとわれて困っているらしいんだけど。可哀想だしもうやめろよ」
    「うるせえ、てめえ何者だ! チビの癖にちょっと顔が良いからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
    「これでもミコッテの中では背が高いほうなんだよね、まあいいけど。でもそんなに怒るなんて、それってあんたより俺の方がかっこいいって認めてるようなものじゃないか? あーあ、頭も顔もよろしくなくておかわいそうに」
     なんだか少し腹が立ったから、ついついちょいと挑発してしまった。すると男は激昂したのか、腰から下げていた剣を抜き、こちらへ向けてきた。後ろにいた女がきゃあっと悲鳴をあげる。女性に、絶対に前に出ないようにと促して、自分も武器を構えた。手加減が面倒くさいから対人は嫌なんだよなあ。
    「あ? てめえ杖が得物ってことは幻術士かよ! 男の癖に軟弱な奴め、死ねっ!」
     よしよし、先に男が仕掛けてきた。これで俺は防衛のために攻撃したってことにできるから都合がいい。
     剣の使い方もロクに知らないような、大振りで隙のあり過ぎる攻撃。避けても良かったが女性に当たるとまずいので杖で受け止め、魔力を込めて弾き飛ばした。残念だけど、その辺の幻術士とは違うんだよね。だって白魔道士だし。この俺がゴロツキに負けるわけがないじゃないか。
     まだまだとばかりに威勢良く突っ込んでくる男を押し返すように勢いよく風魔法を当てて吹き飛ばし、すかさず岩塊をぶつける。そうしてフラついたところを睡眠魔法で眠らせた。さすがに死なれては困るのでしっかり治癒してから剣を取り上げて、杖で殴って起こした。男は何が起こったのかわからないといった様子でおろおろしていたが、自分が握っていたはずの剣がいつの間にかこちらの手にあることを知るなり、驚きと恐怖から間抜けな声を出した。
    「はい、あんたの負け。他人に嫌がらせするのはもうやめろ。 巻き込まれるこっちも面倒くさいんだよ」
     最後の言葉の時、きっと怒りに満ちた顔をしてしまったのだろう。男は酷く怯えた顔をして、土下座をした後こちらを振り返ることもなく逃げていった。
     一方、女性はどこで怪我したのか、いつの間にか左手を擦りむいていたので、ついでにと癒してやった。もうこれでいいよな、それじゃあと立ち去ろうと背を向ける。だが、またしても俺の腕は女性に掴まれていた。
    「あ、ありがとうございます! あんな簡単に撃退してしまうとはびっくりです。強くてかっこよくて、そして癒しの力も持っているなんて素敵ですね! あの、よかったら私とこの後っ…」
     こ、この流れは、とんでもなく嫌な予感がする。
     女性はまるで誘惑でもされたかのような、うっとりとした表情でこちらを見ていた。俺はその表情を見てゾッとした。
    「いや、俺は疲れたから帰りたいし。それにきみみたいな可愛い子なら、他にいい人が見つかるはずだ。その人とお茶でも何でもしなよ」
    「私はあなた様にお礼がしたくて。疲れているなら尚更、少し休まれてはどうでしょうか?!」
     精一杯の配慮をして断ってもこれだ。ほんと、余計なことしたなって後悔する。クソッ、こっちはあんたと一緒に居たくなくて早く帰りたいんだからいい加減にしてくれ!
     苛々していると、女性のしっぽがやんわりと俺のしっぽを撫でた。この野郎、人が触られると嫌なところをピンポイントで触ってくるとはいい度胸だ。その辺のミコッテの男ならそれでいい気分になるのかもしれないが、俺は逆なんでね。さすがにこの苛立ちはもう隠せそうになかった。
    「貴重な自分の時間を潰してまで助けてやったのに、それ以上を求めるのか? なんて自分勝手な奴なんだ。しかも俺、接触されるの好きじゃないからそういうのは嫌がらせにしかならないんだよ。ったく、これだから女は嫌なんだ」
     つい思ってたことをストレートに言い放ってしまった。あんまりな言葉に女性がポカンとしている隙に、手を振り払って駆け出した。それでも女性が何か言いながら追いかけてきているような気がした。これ以上しつこくされたら攻撃してしまいそうだからもう諦めてくれと願いつつ、物陰に隠れてテレポして別の都市へ逃げた。

     ほんと、女性と関わるのはもうやめよう。よくない事ばっかりだ。結局、本心とはいえひどいこと言ってしまった。けど、自分の心身を守るためには仕方のないこと。俺は確かに魔法の腕は立つかもしれないけど、それでも普通の人だし苦手なことがあることを理解してほしいものだ。
     こんなことがあったせいでしばらくの間、一人でグリダニアに行くたびに警戒してしまったとさ。











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