トモ●レにハマるアイナナ寮。メンバーみんなでゲラゲラと笑いながら顔のパーツや性格を決めて、キャラクターを作成。好きな時に誰でもプレイして良いという条件だったので、こっそりとゲームをプレイしてメンバーを構い倒す一織。
環のキャラに「おなかが空きました」と言われてプリンを食べさせると大好物になったので、まるで四葉さんみたいだな…ふふ…って笑う一織。ある日、自分の部屋の窓がもやもしていることに気づいて声をかける。
『私と四葉さんのこと、どう思いますか?』
「…………」
どう思う、とは…??
四葉さんとの関係を自分で決めることに躊躇いつつ、色々考えた結果やむおえず『相性バッチリ!』の項目を選択する一織。喜んでいる自分の姿を見て恥ずかしくなる。
後日。相変わらずメンバーのお世話をして構い倒している時に、環の部屋からピンク🩷の恋吹き出しが出ていることに気付く。
(四葉さんが?……意外だな)と思いながらモジモジしている環をクリックする。
『実は、いおりんのことが好きです。告白したいのですが…』
「……は?ダメでしょう」
予想外の展開に驚きつつも即答で『ダメ』を押す。みんなで使うゲームなのに四葉さんと私が恋愛関係に発展したら茶化されるに決まっているではないか。落ち込んでいる環のキャラに心を痛めつつも、大好物のプリンを大量に与えて、恋心を忘れさせようとする鬼のような一織。
数日後、仕事が落ち着いて久しぶりにログインすると、環のキャラと一織のキャラが部屋で楽しそうに遊んでいる。その様子を(四葉さんと遊んでいるのか…良いなぁ…)と羨ましく見入ってしまうが、ふとある変化に気づく。二人の肩書きが友人から──『恋人』に。
「は?!?!」
「いおりん声でけー。どしたん?」
「あぁ、四葉さん…おかえりなさい。最近トモ●レをプレイした方、どなたかご存知ですか」
「んーと、俺?」
「何かありましたか?変わったこととか…」
「ナギっちの好物がハンバーグになった」
「そうですか……。他には?」
「他? あとはー。いおりんが俺に告った」
「わ、私から告白したんですか?!というか、勝手に告白させないでくださいよ!」
この前環のキャラが自分に告白しようとしたばかりなのに、まさか自分のキャラが告白するなんて、とソワソワしてしまう。
「良いじゃん!いおりん、俺のこと好きなんだろ。好きなものは好きだよって、伝えねーと。アンダースタンド?」
「逢坂さんのパートを歌わせないでください。はぁ…これ、メンバーも見ますよね。困ったな」
「……別れる?」
「うっ、……ようやく両想いになって幸せを感じている時に、別れさせるのは可哀想な気もしますね…」
「裏技?とかあんのかな。探してみっか」
「あ、あくまでゲーム内の話ですし、無理に別れさせる必要もないのでは?」
「あのさ、いおりん。どっちなん?」
「えっと…四葉さんはどう思いますか?」
「俺はいおりんのこと好きだから、恋人でもいいけど」
「えっ?!」
思わず目が丸くなり、
環の言葉にドキドキする一織。
「ほらこれ。俺のキャラ、いおりんのこと大好きらしい」
『一織 大好き』と書かれてある信頼度画面を見せつける環。
「あ…、あぁ。なんだ、トモ●レか。まぁ、そうですね」
「今トモ●レの話しかしてねーけど……何で顔赤くなってんの」
付き合ってほしくなかったけど、キャラ同士がお付き合いしている姿を見ると嬉しいので別れたくはない一織。
その後。一織はゲームをプレイするたびに自分たちの「関係性 : 恋人」の文言を確認して、ぽーっと照れてしまうし、環は、恋人としてイチャイチャしている自分たちの姿に、なんか恥ずい……って意識してしまって、自分のキャラと一織のキャラのお世話を避けてプレイするようになる。ちゃんとお世話してくださいって一織に怒られるし、実際に俺といおりんと付き合ったら…を考える時間が増えて両片思い状態になるたまいお。