沼男は誰だｰｰｯ樹里という女について


「だって…自分自身を認められない…、愛せないって。それってとっても悲しい事じゃないですかぁ…」


あなたはスワンプマンについて肯定的ですか？と聞かれた時、肯定でも否定でもなかった。ただ、自分自身が何者であれ、「自分を否定してしまうこと」だけはあってはならなかった。
両親から関心を示される事の無かった幼少期、自分だけが自分を愛してあげなければきっと心が身体が存在がバラバラになってしまうと思って必死に生きてきた。他者へ自分自身の存在を認知させるために悪目立ちをいっぱいしてそういう仲間と連んで、荒れた時間をそれなりに過ごしていた。けど何も悪い事をするだけが「自分の存在を知らしめる」手段ではない事を教えてくれた人がいた。私の存在を気にして、気にかけて、心配している人がいた。なんで、どうして？どうしてわたしを認知してくれるの？只々不思議で、泣きたくなった。どうしてこの人はこんなにも暖かいのだろう。せんぱいの世界ではわたしは「私として生きていても良い存在」なんだね。



最後の部屋で、お母さんはやっぱり私に無関心だった。「どうでも良い存在」って言われちゃったのはとても悲しくて、昔の事もフラッシュバックしちゃって辛かったけど、それでもそれでも、私自身が私を肯定できるし、私を肯定してくれる友達や先輩がいる。それだけで、否それがあるから私は私として地面に足をつけて生きていく事ができるの。ごめんねママ、お母さん。それでも私はあなた達の愛を求めて生きています。


「スワンプマンになる事(既になってしまっている事)に躊躇いがある、受け入れられない」ということは「自己嫌悪・自己の存在否定」になっちゃうから、自分の親しい人が悩んでいたら、もし受け入れられなくても、受け入れることが出来る様になるまで、それまでの間は私が代わりにいっぱいいっぱいその子を抱き締めているからね。私の世界にはあなたも存在していて欲しいんだって伝えさせてね。ごめんね、これは樹里のわがままだから。

こはるちゃんは自分の事が許せなくて、でも弟くんのことは自分の事以上に心配していて。こはるちゃんが自分を、この世界を嫌いになっちゃうのが凄く悲しくて。何よりも他者(弟)の痛みを理解できるこはるちゃんが、他者(母)を殺す選択をとったのが恐ろしかった。殺害は他人の存在を否定する最たる手段であり、「他者のために他者を殺す」その勘定に自分自身が入らないこはるちゃんは、自分自身に酷く無関心だと気付き、やるせ無い気持ちになった。そんな事をしたら、きっとこはるちゃん自身がこはるちゃんのことをもっと嫌いになっちゃう。
どんな手段をとってでも止めなきゃいけなかった。






せんぱいへ、

わたしはせんぱいが大好きです。それはせんぱいがせんぱいだから大好き！
きっとせんぱいも、私が私だから好きなんでしょ？

あみちゃんとまくるさんも、あみちゃんがあみちゃんだから好きで、まくるさんがまくるさんだからずっとずっと大好きなんでしょうね。


もし自分を証明できるものがあるとしたら何だと思いますか？私は馬鹿だから難しい事はよくわからないんですけど、「自分を証明できるものを持ってこーい！」って言われた時には私は「せんぱいたすけてー！」ってできるようにせんぱいを持っていこうと思います！だからせんぱいもそんな時があったら遠慮なく私を持っていってくださいね！

　　　　　　　　　　　　　　　　樹里より、