門梶 R-15 カモネギかも〜パンはパンでもメロンパンが好きだから襟巻きがカリカリのやつをピック、トングで威嚇されて弱った所を無事捕獲した。
これは貘さんの分、クロワッサンを1つ。どうせ寝覚めに食うだろうし、カフェオレベースとかも探して来てあげようかな?
そしてこれは子供舌なマルコの分、粉糖のたっぷりかかった甘〜いカスタードコルネ。
コロネ?コルネ?どっちでもいいけど、なんか……門倉さんに似ているな。門倉さんのトサカに似ている。門倉さんは今日何してるんだろう。
トングをカチカチ……。
「ありがとうございました〜」
「ッした〜」
すっかり行きつけになってしまったパン屋さんをあとにして、賭郎本部へ向かう。部外秘なあれやこれやのセキュリティを抜け、上階にある僕らの部屋へ。
貘さんから直々に好きにして良いと言われている部屋なので、遠慮無く利用している。
荷を下ろし、スマホをチェック。
位置情報やスケジュールを共有してくれるアプリによると、貘さんは海外か。今夜戻るのかな。
マルコはどこかの図書館?ああ、鷹さんに中国の絵本を読んでもらうとか言ってたかな。
じゃあ心配は無いだろう。冷蔵庫にパン達を入れ、冷蔵保存。
メロンパンもおやすみなさい。
3人で食べる用とは別に確保していた大物だけを手にして、キッチンへ入った。包丁洗ってたかな〜!?
「門倉さん、今良いですか?」
「どうぞ」
「サプライズ……って言っても門倉さんにはもう、見えてますよね」
「……ええ。それは?」
後ろ手に隠していたトレーを前に出す。バターの匂い、ジャムの熱、全部見えてるんだろう、この人には。
それでも喜んでくれる。
「アップルパイです。あとお紅茶。あと…梶隆臣くん」
「うおお……梶が糖分背負ってやって来た。カモネギってやつか、これが」
「あっ、ここのは甘くなくてアッサリ食べられちゃうんですよ。一切れぜんぶ食えます?」
「勿論。膝の上、座る?」
「いえ、椅子に座ります。門倉さんはすぐ座り心地悪くなるから」
「じゃあココに座ってあ〜んしてつかぁさぁい」
弐ュッと伸びる長い腕が僕の腰を掴んで引く。机の端に座って、あ〜んしろと言っているらしい。何でそんなエッチな女上司みたいな事をやらされるんだ。AVで見たことある。僕は彼氏とお茶がしたいだけなんだよ。でもこの人の筋肉を腹に感じると抵抗する気も無くなるくらいには僕も甘くて甘えただから、しょーがないなと受け入れた。頑丈な執務机に尻を下ろし、一口大のサクサクを口元に寄せると、大きな手が髪をいざらかせながらあ〜ん、バクッ、ペロリ……。咀嚼してんなあと眺めていればまた口が開く。天下の門倉雄大が、給餌待ちの小鳥みたいな事しないで欲しい。ほらどうぞ、バクッ、ペロリ……。これを4回もすればひと皿綺麗に片付いた。そしてお紅茶で食道のリフレッシュ。茶碗で水を飲むようにガパガパ飲むかと思いきや、きちんとチビチビ味わってくれるので入れた甲斐が有る。それに優雅だ。好きな人の捕食シーンをこんなに近くでゆっくり見れるの、実は貴重なのかもしれない。ガン見しとこ。折角の長い睫毛も、キスする時くらいしかじっくり見れてなかったかも。
「ほら、あ〜ん」
「え?あ〜ん」
「燕の餌やりみたいやね」
「それ僕が若い燕って事?」
「ワシのこと有閑マダムみたいに言いなさんな」
差し出されたパイへ素直に食いつくと、ひょいひょいフォークが逃げて行く。お口で全然捕まえられない。ガキかよ!トルコアイスかよ!
この門倉め、くっそ。フンヌと追いかけ続けていると唇に触れたのはサクサクの生地じゃなく、人の粘膜。このおじさんはさ〜……。いっつもこういう、んむっ、スケベなさあ〜、っ、ふ、はふ……
机に座らしたのってそういう事なんかよ!とスケベの思考回路に感嘆する。
見ればいつの間にか書類も片付けられてるなあ!?恐れ入りました。
服を捲り上げて乳を吸われながら、普段は見れない彼の旋毛を見下ろした。これもレアなショットだけど嬉しくはない。
あ〜乳首を甘い匂いにされる……。