リの出産表現がありますん。
ユグドラシル(おそらく林の騎士)→グリーンアンバーのホムンクルスを生み出す。
ホムンクルス(おそらく緑のテンタクル)→生まれながらにして全…知…?
ニーズヘッグ→空軍ちゃん。名前だけ出る。
森の精あるいは魔女→お姫様に百年の眠りの魔法を掛けることになったけど、それは「彼ら」には関係のないことだ。
笛吹きの傭兵→ファドーグ一つを持って今にも枯れ果てそうな森に来た竹取の翁…?そしたら何故か生まれたてのホムンクルスを育てることになった。なんでおれが…。
ファドーグ→(ティン・)ホイッスルのこと。かつては良く喋る人格だったらしい。
アップルツリーマン→そもそも獣らしい。ユグドラシルが唯一実りを与える相手だが、そのユグドラシルが獣の遺骸を苗床にしているため、既に死んでいることが分かる。遂にはそのユグドラシル迄枯れようと言うのだから、それは事実なのだろう。
遠いところより来た。
この森には世界樹と呼ばれる程の背の高い木が在ると聞き、たくさんの村を通って来た。
だがここももう駄目みたいだ。
どの木も枯れ枝ばかり、今にも崩れそうな程蓄えている。
森と聞いて来たが、林と呼ぶのがやっとな位、随分痩せ細ってしまっている。
次の村に行くか。そう判断を下そうとしたところで、声を掛けられる。
「わあ!ようこそ、ようこそなの!」
なんの、動物の気配すらしなかったぞ。
「何者だ?」
「そんなことはどうでも良いの!」
なんってこった。
娘の姿をしてはいる相手は、初めの声さえ歓迎した様子のものだが、こちらに非協力的ではないか、これでは本当に好意的かも怪しい。
「こっち!」
「わ!おい、ちょっと!」
しかし相手は強引にこちらの手を取ってぐいぐいと引く。これが簡単にほどけそうでそうではないことに、焦りを覚える。
それでも辿り着いてしまった娘の目的地らしいそこには、大樹があった。おれの目的地でもあった。
その大樹の佇まいの堂々としたこと、思わず声を上げて見上げそうになる。
しかし元より痩せてしまったことが伺える危うさに、心が痛む。なのにそれすら惹かれる程で、だから、余計に。
「生まれそうなの!」
惚けていたところ、そう耳に飛び込んで来る。聞き間違いか。
「……なにが?」
娘は大樹を指さしている。……なにを?
「はやくはやく!」
相手は相変わらずこちらのことなどお構いなしだ。
より大樹のそば迄引っ張られ、背の割に細い幹のそば迄連れて来られる。なにか、光っている。
横に居て急かすだけの娘の顔を、疑問に見返すこともなく、その緑光から目が離せない。もっと東の森では節の有る木の中から光る子供が生まれたらしいが、おれは助産なんかやったことないぞ!?というか、これは。
まるで脈打つように光る緑玉は、しかし玉に他ならなかった。それでも逸らせぬ視線の儘に手を伸ばし、そっと触れる。しっとりとしていて、硬く冷たい。
迷いは有ったが、それを、取り上げた。
当然だが、それは産声など上げなかった。
寧ろ緑光は脈打つことをやめ、慌てて胸に引き寄せた。ばかな、初めから冷たかったものを、今更温めようなどと。
「生まれたのー!」
しかし娘は歓声を上げた。ようやっとその顔を確認する、なんだか久方ぶりにその若芽色の目を見た。