ひまわりばたけでぬぐリのよーり(???) うちの向日葵見に来ませんか?
この男の言う「うちの向日葵」に油断してはならない。何故ならこの男、元を辿れば伯爵家の系譜であり、現代も尚その威光と財産を受け継ぐ絶滅危惧種並の世界遺産的な、年代物の御曹司であるのだから。
「如何です?良い眺めでしょう?」
そら見たことか。
眺めと言われて、確かに遠目に眺める程広がる向日葵の群生、向日葵畑だ。
畑だけでない、畑を一回りも二回りも通り越した、その向こうの湖どころか丘や山迄ここら一帯、近くのコテージだかペンションだかの邸含めて。みいんなこの男の持ち物だ。自然の素晴らしさに感動している場合ではない。金の持つ権力に感嘆するばかりだ。まず先にそう考えてしまうおれは文明に染まり切った駄目な人間なのだろうか。いやしかしなあ。