七話 安息地「ココノ。お前この周辺どうなってるかわかるか?」
「裏路地、表通り、神社への道を軽く見ましたが追手は結構な数がいました。推定三十くらいかと」
「三十だと? 未成年を追うのにどんだけ人員割いてんだか……。その数をこの町に投入するとか勘弁してほしい……。仕事の後処理がどれだけ面倒かあの烏合の衆どもはわかってるのか……?」
町中の屋根を走りながら一人と一羽は情報交換していた。私は会話を聞きながら必死に振り落とされないようにしがみつくことで精いっぱいだ。そもそも、今オイカワさんが通っているところは道ですらない。屋根伝いに走っては跳ぶという動作を繰り返して移動している。通常の道を通っていないため、追手は気づきもしないだろうが、一歩間違えれば落下して死んでしまう。
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