幕間の楓恒㊹ 丹楓の背にくっつきながら丹恒は風で舞う庭先の葉を眺めていた。ひらひら、ひらひらと落ちていく其はまだ小さな丹恒から見れば風情があるというよりは動くものを目で追いかけてしまうという反射的な反応ではあったが、丹楓の背にくっついている丹恒からすれば僅かではあるが楽しさも感じていたように思う。
丹楓の務めを邪魔しないように、丹恒が庭をじっと眺めていると見覚えのある耳と尾が見えて、丹恒はぱちりと瞬きをした。
「はくじゅ…?」
ぱちぱちと瞬きをしながら名を呼べば、手を振りながら白珠が縁側に座っていた丹恒の前へとやって来て視線を合わせるように腰を下ろす。
今日は白珠が遊びに来ると丹楓は言っていただろうかと、こてんと丹恒は首を傾げたが、答えは見つからず、後ろで書類を見ている丹楓に聞くわけにもいかない。
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