バレンタイン小話「三郎〜!!」
手を振ってやってくる謝憐に花城は顔を上げる。
「兄さん!!」
「おはよう、呼び出して悪かったね」
「いいや、ちょうど兄さんに連絡しようとしてたんだ」
少し声が弾む。
だって、今日はバレンタインデーだ。少しは期待していいはず。
「そうだったのか」
会えて良かったと、頬を桃色に染めて謝憐は微笑む。
僕の天使は何て可愛いのだろう。
「それで、三郎。これ」
渡されたのは小さな紙袋。
「大したものではないんだけど、あ、味見はした。食べられると思う・・・んだけど」
ゴニョゴニョと語尾が消えていく。
しかし、聞き取れなくても聊かの問題もない。その時すでに花城の意識は飛びかかっていた。
「手作りなの!?」
神からの手作り菓子。これは神の食べ物だ。
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