「ようこそミツキ、お待ちしていましたよ」
優雅な礼で迎えられた玄関には、いつだかの劇場版放映の際限定数で販売された原作者書き下ろしのここなのポスターが飾られていた。ボーイフレンド役の声優を務めていた三月も出演した作品で、もらってきてやろうかと聞いたら鬼の形相で悩んでいたナギを思い出す。
「よ! 一日だけど世話になるぜ、ナギ」
過去に幾度か訪れたことはあるが、相変わらずこの家は広い。家主に先導されてむかったリビングは寮のそれと同じくらいの広さがあった。メンバー全員が一人暮らしを始めて以降、何か集まる用事があるとナギの家が選ばれるのもこういう訳だ。三人掛けのソファと大きなシアターの置かれたリビングを抜け、客間として使用しているらしい部屋へ通される。
3120