習作1まいったな、と小さくこぼしたつぶやきは聞こえていたらしい。
「ごめんパタさん」
「……アクシア君が謝る必要ないと思うぞ、それより」
血は止まった、と言いかけて。
「止血は出来てるみたいだけど、包帯ちゃんと巻こうか?」
渡した布全部使って、お世辞にも丁寧とは言えないぐるぐる巻き。
「見た目はともかく動けるからこれでいいよ。なんか軽めの銃ない?」
「軽め」
ホホジロさんに手を突っ込んで、護身用の小さい銃を取り出した。
「こっちは予備の弾倉。あんまり威力はないけど」
「いいよ」
字で、しかも相手は正体不明の勢力で。でもさすがにやっちゃうのはまずいっしょ。
歯を見せて笑い、ちらりと相手のほうを見る。
「狙いは博士かな?」
「あんな武装ゴリゴリの集団に狙われる理由あるのかヴィンさん?」
「聞けば出てくんじゃないの……? 本人も分かってないかもしんないけど……」
見つけたとき通報だけして、博士のアパートまでダッシュして立てこもるのが最適解だったかもね。
「木造の六畳間は立てこもるには向かないと思うんだけどなあ……」
会話の合間合間の銃声。「よっしゃワンダウン」とアクシアのつぶやき。
「つか多くない?」
「多い。だからヴィンさんなにしたんだと思ってる」
今はまだ、ハンドガンで応戦できるレベルだからいいけど。
「さすがに大型は撃ったらマズいよな」
「パタさん聞かなかったことにするからね?」
てかさ。ぶれない手つきで連射しながら、アクシアがぽつんとつぶやく。
「相手、人間?」
「なんで?」
「被弾しても倒れても、悲鳴上げないじゃん」
いくら訓練されてても、声のひとつも聞こえないのはさすがにおかしいよ。
「……ヴィンさんのとこまで走れる、アクシア君」