もしもの世界「俺とお前の何が違うんだよ! 世の中は弱肉強食だ」
灰崎の言葉を。左馬刻は否定することができなかった。だって左馬刻もそう思うから。だから左馬刻は『力』を求めた。誰にも負けず、相手を屈服させる純粋な強さ。それが正しいと信じここまで来た。ーーでも、本当にそれで合っていたのだろうか。自分は灰崎と何が違うのか……。そんな左馬刻の一瞬の迷いの間に、横から声が割り込んで来た。
「せやな、世は弱肉強食や」
「簓……」
そこに居たのはかつての相棒。左馬刻が背中を預けた男だった。
「なんだか強そうなのがもう一匹でてきたぁ」
楽しそうに笑う灰崎に簓は笑顔を返した。
「俺が強いってすぐ分かってもらえるとは嬉しい事やな。昔っからなぜか俺、なめられる事多くてな。昔ブクロで左馬刻と組み始めた時なんか、色んなチームに『碧棺じゃない方』とか言われてな。失礼な話や」
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