食前の美カネダは必ず、ご飯を口に運ぶ時、飲み物を飲む時、前髪を避ける。小さい頃から見ている光景のはずなのに、最近その仕草に見入ってしまう。
髪を抑える手、指の仕草。
少しだけ開く口。
口を拭く動作
その一つ一つに動作に艶っぽさを感じ、自分の中で感情が湧いてくる。
「タミヤくん?どうしたの?」
同じく一緒にご飯を食べているダフが不思議そうに聞いてきた。その声に反応して、カネダも俺の方を見ている。
「…お腹空いてないの?」
カネダの動作に目を奪われ持っていた箸はご飯をつかもうとしたまま止まってしまっていた。
そんな俺を見て2人は心配そうにこちらを見ている。
「大丈夫!ちょっとぼーっとしちまっただけだ!悪いな」
「そう、ならいいけど無理しないでね」
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