文化祭準備の颯マリ放課後にグラウンドに出ないなんていつぶりだろう。8月は欠かさずに走っていたし、雨の日でも小雨程度なら体を動かしていた。
腕のスマートウォッチを確認すると、時刻は17時をすぎたところだ。あと1時間は教室から動けないから、家に帰った後でロードワークに出よう。そんなことを考えていると、いよいよ体がムズムズしてくる。早く走りたい。
今年、うちのクラス出店は和風喫茶だ。机の上には女子が頑張って筆ペンで書いたお品書き。それを型紙に貼り付けてメニュー表を量産するのがオレの役割だ。と言っても、もう終わってしまったけど。かといってじゃあオレは帰るよ、なんて言えればいいんだけどさ。もちろん、それは無理。
早く帰りたい気持ちのまま、自然と視線は教室のドアに向いてしまう。廊下の窓からは秋晴れの透き通った青空が見える。
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