虎の尾寝込みを襲われて散々な目に遭った翌週。
煉獄からさんざん逃げ回りようやく訪れた金曜日に、炭治郎はようやく人心地ついた。
平日を乗り切れば、土日に気分も切替えられるだろう。
そもそも、怒っていたのはこちらなのに、何故自分が逃げ回らないといけないのか甚だ遺憾ではあったが、そこはしょうがない。
怖くなったのだ、単純に。
月曜日、火曜日までは、体は辛くないかだの、美味しい物をご馳走しようだの炭治郎の機嫌を取るようなメールや電話があったが、炭治郎にとりつく島もないとわかると、次第に空気がピリリと引き攣り出し、険しい瞳でこちらを見るようになった。
そうなってくると、こちらは悪くないと思っていても自然と及び腰になり、昼休みや退勤時には煉獄に見つからないようにとコソコソと逃げ回った。
2137