夜空に咲くやよいさんには「去年の花火は綺麗だった」で始まり、「寄り道にも意味はある」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字)以内でお願いします。
#書き出しと終わり #shindanmaker
shindanmaker.com/801664
ーーーーー
去年の花火は綺麗だった。
今年の花火は見られなかった。
来年の花火は――見られるか分からない。
――生きているのかも、分からない。
恩師しか訪ねて来ない地下室のテレビで、仙台七夕花火祭のニュースを見ながら、虎杖はそんな事を考えていた。
考えても詮無い事ではあるが、一度動いた思考を止めるのは困難だ。
虎杖は無意識に胸元の服を握りしめながら花火を凝視していた。
「おい小僧、それは何だ」
頬からの声に、現実に引き戻される。
宿儺からこういった質問が飛んでくるのは、稀にある事だった。
「え、あ……これは花火。色の付いた火薬…火薬って平安時代にあったっけ?えっと…火?を、こう…空で爆発させるみたいな?」
「貴様に聞いた俺が阿呆であった」
「うるせえな!綺麗だから細かい仕組みとかはいいんだよ!」
「しかし、呪術ではなく火でこのような事が出来るのか」
「そう言われると…たしかに、不思議だよなぁ」
ちょうどテレビが、色とりどりに変化する花火を映し出す。
いつの間にか服を握りしめていた手は離れ、凪いだ感情で映像を見ていた。
「なぁ、今はここから出られないけどさ。修行が終わったらみんなと花火してみる?家庭用の小さいやつとか売ってるんよ」
「?」
「できれば花火大会とか行きたいけど、修行いつ終わるか分かんねぇしさ。それに――」
――来年は、俺も宿儺もこの世に居ないかもしれない。
口に出す代わりに、小さく息を吐く。
大丈夫、これは正しいことだから。
「あ!でも花火って魔除けとか厄払いとかの意味もあるって聞いた事あるわ。お前祓われるかな?」
「そんなもの効くわけがなかろう」
「デスヨネー」
からかったのが気に食わなかったのか、頬の口が閉じる感覚がした。
夏の間にみんなに合流できるか分からないけれど、花火をしないか誘ってみよう。
伏黒は寄り道すんなって呆れるかな。
釘崎はきっとのってくれる。
先生に花火がしたいって言ったら山ほど買ってきそうだし、伊地知さんに相談かな。
少しでも、この呪いが凪ぐのであれば。
寄り道にも意味はある。
ーーーーー
来世では、お揃いの浴衣で
じいちゃんも一緒だと嬉しいな