インセクター酷い頭痛で目を覚ました。
まるで頭蓋をこじ開けられ、中にある脳を好き勝手に掻き回されているような。
そんな錯覚すら覚えてしまう。
痛みは収まるどころか、更に強くなる。
脳味噌を乱暴に混ぜられている。
いや、違う。内部から食い破られている。
虫だ。
何匹もの虫が、己の脳を、ぐちゃぐちゃと食い荒らす。
棘を備えた脚が柔らかな脳を引っ掻く。顎に備わった二対の牙を立て、それらを擦り合わせるようにして、咀嚼されていく。
無機質な複眼は、ただ目の前の糧を食い尽くすという本能のみ。
「ううっ………ぐぅ……」
耐えられずに、呻きが迸り出た。
虫が頭蓋を、皮膚の下を、無闇矢鱈に這い回る幻覚がよぎっては、消える。
このままのたうち回りたくなるほど酷い痛みだ。
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