天気予報は一日曇り。ならば大丈夫だろうと傘を持ってこなかった。それが帰る頃には結構な土砂降り。
「どうすっかなぁ」
「何がどうすっかなぁなんだよ?」
急に背後から声がして振り返れば、仁王立ちでこっちを見る五条先輩。傘がない事を伝えると、仕方ねぇなと呟いて手を繋がれた。え? 何々?なんてふためくのを他所にそのまま歩き出すから、一緒になってザザ降りの空の下へ。——濡れる。そう覚悟して思わず目を閉じたが、一向に体に当たる素振りはない。恐る恐る目を開けば、確かに全身を叩きつけるように雨が降り注いでいるのに、まるで当たっていないのだ。何の仕掛け? と隣の五条先輩を見上げれば、それはもう絵に描いたようなドヤ顔で。
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