フィガロ先生の腰が痛い話「フィガロ先生! もう朝ですよ、起きてください! あっ、寝返りを打たないでくださいってば!」
ドアのノックもそこそこに部屋に入り込んできたミチルの怒鳴り声に、目を閉じたまま思わず口角を上げる。もう少し平和な一日の始まりを噛み締めていたかったのだが、布団を引っぺがされた事で観念した。
「はいはい、分かったよ。おはようミチル」
いつも全力で起こしてくれる可愛い生徒の頭を撫でながら上半身を起こすと、片腕を取られて立ち上がらされる。もう随分前から起きて活動を始めているのだろうミチルの足取りは軽くすぐに部屋から連れだそうとするから、その直前で指を一振りして服を着替えた。いつもの白衣に聴診器を下げた格好で廊下に出ると、そこにはルチルとレノックスの姿もあって南の国の魔法使い勢揃いだ。
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