ソロモン王に与えた靴がもう小さくなったのだという。
そのことにサタンが気がついたわけではない。まだ幼いソロモン王の護衛を兼ねて、傍に侍らせている黒い犬からそのような報告があったのだ。というのも、ソロモン王がいかにも歩きづらそうに足を引きずっていたため黒い犬が尋ねたところ、渋々といった体で擦り傷と水ぶくれのできた足を見せたのだとか。
「体の不調があった際にはいち早く報告するようにと釘を刺しておきました」
黒い犬はそのように言った。サタンは雑事のために少しばかりソロモン王の傍を離れていたため、そんな報告をした黒い犬を「でかしたぜ、犬ちゃん」と素直に褒めた。
「しかしまあ……この前も似たようなことがなかったか? あの時は服の大きさがどうとか言ってた気がするが……」
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