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    のぱせんの文字部屋

    @nopansensi1

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    勿体無い精神(11月に書いてて途中で諦めたものが出て来たので昇華)
    キャラ崩壊
    こいっきじゃなくてもいいやろレベル

    ##鯉月

    子供部屋こいとさん元来可愛いものが好きだった。おまけにモノ持ちも良い。
    幼い頃は、ぬいぐるみを集めていても何ら文句言われなかったが中学高校と上がる頃には度々「少しは片付けろ」とチクチク苦言を呈されるようになった。
    大学へ進学と同時に上京する頃には、遂にこの部屋の大量のぬいぐるみは処分すると母親に言い放たれ、部屋のぬいぐるみたちを全て袋詰めさせられた。
    可愛いものが好きで何が悪い。
    内緒で思い入れのあるものは転居先へ送ったが、残りは……、まぁ最悪処分されても仕方がない。あの量を処分するのも労力がいるだろうな。

    かといって、学生が住める部屋などたかが知れている。あっという間に1DKの学生アパートは実家同様見慣れた「子供部屋」となってしまった。
    ベッドのシーツはファンシーな羊柄、寝る時どうやって寝るのか?と聞かれても答えられないほどに鎮座しているぬいぐるみ。
    カラーボックスは、過去剣道大会で全国1位を取った表彰と小説と参考書が少し。それ以外はすべて可愛いもの置き場となっている。

    ――故に、鯉登青年は人を部屋に招いたことは無い。
     
    自分に恥ずかしい所があるなどと思ったことは一遍たりと無いけれど、この部屋に人を招くのは自分の心の内を明け透けに晒すようで気が引けた。

    幼いころから半ば放任主義で育てられてきた鯉登だったが、心を埋めるものはいつでも小さな可愛いものだった。
     
    大学へ進学し、しばらくして鯉登にも友人と呼べるような人間ができた。
    当初方言で悩み、半ばコミュ症になりかけてい所に、俺も方言で悩んだよと突然学食で話かけてくれた3つ上の先輩。身長は低いががっしりとした体形。聞けば柔道を嗜んでたという。
    見た目は厳つく初対面は近寄りがたく思ったものの、破顔した様相は可愛らしく、また先輩ぶる訳でもなく優しく接してくれるので鯉登はすぐにのぼせ上がってしまった。

    「最初はいきなり話しかけてくるから、ネットワークビジネスの話なのかと思ご…思った。」

    そういう時、くっくっくっとズルそうに笑う。
    そういう顔が好きだ。

    「まぁ、アレだ。鯉登で言う所の『よかにせ』ってやつだったからここで話さなきゃ勿体無いと思って必死だったんだ。」

    「なっ…」

    ズルすぎてからかい上手の歳上の友人とは次第に気の置けない中になり、恋仲とまではいかないが、ようするに「憎からず思っている」というような関係性まで発展した。
    あともう1歩、ぜひお付き合いをと行きたいが、その前にどうしても、どうしてもこの「子供部屋」が気がかりだ。友人――月島には自分のすべてを知ってほしい、自分の事を解ってほしい。が、しかし気持ち悪がられる位なら知らないでほしい。

     
    居てもたってもいられず、お気に入りピンでいつでも最新の箇所にいる人物に『今日うちで宅呑みしないか?』と誘ってみる。

    送信後そわそわして待っていると、しばらくして既読が付いた。

    だが返事が来ない。

    時間があけばあくほど、何故見せたいなどと思ったのか、なんで自分の家に招くなどと言ってしまったのかと後悔の念に胸をざわつかせた。
    本当に恥ずかしい所など一遍たりと思った事はない、思った事は無いのだ………。おまじないのように繰り返す、だのに、やっぱり呼びたく無い。人に見られたく無いという気持ちが胸中を蝕む。
    あぁ〜なかったことにしよ!!もう送信取り消ししちゃおっかな〜きえぇ〜♪と指で送信取り消ししたのとほぼ同時に携帯が震えた。
    出てみれば『え?!あれ、消した?行っていいのか、どっちなんだ?』もう出る準備してるんだけど。とガチャガチャ音を立てて通話相手が慌てたように声を出す。
    観念し、鯉登は情けない声で『間違って取消ししてしまった。三茶駅まで迎え行く…』と嘘をついてしまったのだった。
    --
    三軒茶屋駅までの道のりどうやって来たのか全く思い出せない。なぜか手には缶ビール握りしめてそして既に飲み干されていた。
    なるべく早く来ないよう時間ギリギリで着こうと思っていたのに30分も前に着いていた、何故だ。
    南口のファミリーマート前で待ち合わせしようと言う事で待っているが、待っている時間に殺されていく感覚に陥る。酒のせいか緊張のせいか、心臓はバクバク脈打ち視界が狭くなる。
    ここまでの緊張を経験したことは、憧れの親戚を目の前にした以外そうそう無い。

    「はー?お前もう呑んでんの?」

    ラフなスウェットで近づくイカツイ小さな坊主頭が怪訝そうに声をかけた。

    「ああ、もう来たのか…。いや緊張して。」

    「え、何で?」

    側から見たらちっさいおっさんに絡まれるうら若き青年のように見える。

    「あんだけ部屋来るなって言ってた奴が宅飲みしようなんて珍しい事言うから、沢山酒買ってきたのに。」
    「はぁ、まぁ。」
    「今からでも辞めるか?」

    いまいちパッとしない様子に怒っていいはずなのに、ん?と優しく声をかけられ断る事などできるだろうか。

    「いや散らかってるんで、それでも良ければ…と、思って。」
    「男の部屋なんて誰でも散らかってる気にすんな!」
    「ちごっ…月島ァ…さん!の部屋は綺麗だったぞ。」
    「俺の家は綺麗じゃなく、何も無いんだよ。」
    「う、それで言うとおいの部屋は物が溢れてて、その…なんだ。来ればわかると言うか、いや見せたく無いと………いや見てほしっ。」
    「なんかそう濁されるとどうにも見たくなるな。」
    「……きたら分かる。」
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