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    メルズ前沼。

    ユニバのメルズ前に沼った哀れな奴です。
    投稿するのは小説が主。

    リクエストは申し訳ないです、金銭目当てで書いてる訳じゃないので受け付けてません💦

    二次創作物になってるんで、中には地雷を踏む可能性はあります。
    中の人の名前が出る話には鍵掛けてるので、もし読みたい方はDM飛ばしてくれたら送ります!!
    Twitterでは@meruzu_numa_でやってるので、そっちからリクエストどうぞ!!DM飛ばしてくれたら読みます!!

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    メルズ前沼。

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    サイバー四号のとある話。サイバー四号の、とある話。












    私の名前は、サイバー四号。



    誰が付けたのかも分からないが、気付いた時からそう呼ばれていた。

    自分は、造られた存在で、元は人間だったらしい。

    らしい、と言うのも自分自身では人間だった頃の記憶が無いから分からない、と言うだけだ。

    造られた存在は私だけでは無く、四号、と呼ばれていることから分かるように、私と同じ存在は他にも居る。



    そんな私達は······話すことが出来ない。

    私達を造った存在は、私達を“呼吸をする屍(ゾンビ)”だと言った。

    私達は生きているのか死んでいるのか、それすらも曖昧な存在で、潰された喉ではその問い掛けさえ出来やしない。






    “(今日はあの方々に誘われた立食パーティーの日か······)”






    手元に相手と意思疎通を取る為に買ったメモと、一枚の招待状を見て立ち上がる。


    あの方々に誘われたなら断るわけにも行かないだろう、普通なら。


    全身を映す鏡の前に立ち、自分の姿を確認する。
    あの方々は吸血鬼の始祖様だから、鏡に姿は映らない。
    けれど、自分は吸血鬼にすら成りきれない紛い物だ。






    “(こんな自分がパーティー等······行って良いのか?)”






    鏡に映った自分の、機械だらけの中に所々に残る人間だった時の痕跡。


    到底吸血鬼達のような、美しい容姿も持たない私がパーティー等······あまりにも相応しく無いだろう。


    それに、私が行った所で場を悪くするだけだ。






    “(話すことすら出来ないのだから)”






    そう思い、折角の招待状だが断わりの文章を書こうとした瞬間、私の部屋に一人の影が現れた。






    「やっぱり、お前は断るだろうと思っていたよ」


    「······」


    「始祖である私達に恥を掻かせたく無いからと、何時も断ってばかりだからね」






    部屋の中に現れたその人は、吸血鬼達の長にして私達の憧れそのもの。


    その中の一人······マット様は私が書こうとしていた紙を手に取り、途中まで書き掛けていた不参加の文章を見た後、少し悲しそうな顔をして私を見た。






    「そんなに私達と居るのは嫌かい?」


    “ それは、違います ”


    「なら、何故招待を断る?私達は君達なら大歓迎だと何時も言っているだろう」


    “ 私が行けば、始祖様達が恥を掻きます ”






    マット様の問い掛けに、何時もと同じように返事を紙に書く。
    これでマット様は諦めてくれる筈だ、何時もそうして来たのだから。






    けれど······少し本音を言っても良いのなら······。






    “ マット様達が居るパーティーは、きっと楽しいのでしょうね ”






    今日の立食パーティーも、きっとマット様達が居るなら楽しいだろう。
    私が行けば皆が嫌そうに顔を顰めてしまうから行けないが······想像すること位は許されるだろうか?



    そう思っていたら、不意に私の手がマット様に包み込まれた。
    機械仕掛けの伸びた爪が危ないと、咄嗟に引こうとしてもびくともしない。



    そして、そんな私を余所にマット様は言うのだ。






    「大丈夫だ、私が居る」


    「!!」


    「私だけじゃ無いよ。ジェームスもジョニーも、デクランだって居る。タクミは仕事で来れないみたいだけど······家族皆が居るんだ、お前を一人にさせやしない」






    だから······とマット様はこんな私に微笑み掛けて呟く。






    「だからおいで、サイバー四号。もし······友人であるお前のことを悪く言う奴が居たなら······私が叩き潰すから、ね?」


    “ ············叩き潰すのは、止めた方が良いです ”






    部屋の後片付けが大変だからと返した私は、手が傷付くことも厭わないマット様の手を軽く握り、立ち上がる。









    動きを止めた心に、何故だか少しの温かさを感じながら、私達は部屋を後にしたのだった······。
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