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    メルズ前沼。

    ユニバのメルズ前に沼った哀れな奴です。
    投稿するのは小説が主。

    リクエストは申し訳ないです、金銭目当てで書いてる訳じゃないので受け付けてません💦

    二次創作物になってるんで、中には地雷を踏む可能性はあります。
    中の人の名前が出る話には鍵掛けてるので、もし読みたい方はDM飛ばしてくれたら送ります!!
    Twitterでは@meruzu_numa_でやってるので、そっちからリクエストどうぞ!!DM飛ばしてくれたら読みます!!

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    メルズ前沼。

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    この話は過去作の【ダンデライオン】の続きとなってます。

    貴方へ送る、花冠(サイバー三号)貴方へ送る、花冠(サイバー三号)















    私の名前は、サイバー三号です。






    今日は始祖様の任務の為、街へと行きました。



    今日の任務は、過度な吸血で人間を害する吸血鬼の始末をすること。



    始祖様は吸血鬼の長ではありますが、人間達を無闇矢鱈に殺しません。
    餌とする人間も、大体が殺人や強盗をして人間を殺した重犯罪を犯した人間達だけ。



    そんな始祖様ですが、吸血鬼の掟を破った同族にも勿論厳しい対応をなされます。






    “ 此方三号、任務が終了致しました ”


    “ 了解した、直ぐに戻れ ”






    仲間達との報告を済ませ、通信を切る。



    自分の手を見れば始末した吸血鬼の血で真赤に染まっていて、帰る迄に拭かなければ始祖様達に失礼だろうと布を取り出した。






    「!!」


    “ !! ”






    不意にどん!と私の腰辺りに軽い衝撃が来る。
    殺気も何も感じなかった為油断していたと三号が振り向き攻撃体制に入る。




    そして、その人物を捉えた時、三号は構えた腕を静かに下ろす。






    “ 貴方は、あの時の子供ですか ”






    私がそうメモに書き、あぁそう言えばこの子供は字が読めなかったなと思い出す。



    数ヶ月前に、私が街で出会ったボロボロの子供。
    怪我をしていた為、孤児院まで連れて行ったあの子供。



    今見れば服は綺麗で、怪我も無い。



    相変わらず話すことは出来ないらしいが、それでも私の姿を見て追い掛けてくれたらしい。






    “ 今日は、どうしたのですか? ”






    任務を終えたなら戻らなければならない。
    大した用事が無いなら帰らなければ、と思っていた矢先、子供が地面にガリガリと枝で文字を書いた。






    “ みっけたから、きた ”


    “ 私を、ですか? ”


    “ たんぽぽ、いた ”


    “ ······たんぽぽ、とは私のことですか? ”






    こくん、と頷いた子供。
    たんぽぽ、と言うのはどうやら私の名前らしい。



    それよりもこの子供が字を覚えたことを理解し、それならば早く帰らせて貰うように交渉出来るだろうと私は再びメモを取り出す。


    すると、子供はギョッとしたような顔で私の手を見詰めた。



    私の爪を見て怖くなったのでしょう、こんな反応には慣れています。
    それならば······とメモを子供に見せれば、子供は私のメモを見るより先に、私の手を掴んで駆け出しました。






    「!!」


    “ ? ”






    子供が何を言っているのかは分かりませんが、辺りをキョロキョロ見渡して物陰に隠れるように私に合図を送りました。






    “ 数十m範囲内に、敵の反応はありません。よってこの辺りは敵は居ないと思われます ”


    「!」






    私が書いたメモを見せれば、子供は途端にホッとしたような顔でにっこりと笑います。



    そして、私の血だらけの手を汚れることも気にせずに握り、再び石畳の道を歩いて行きます。






    “ たんぽぽ、けが、してるおもった ”


    “ 私が、ですか? ”


    “ だれか、おわれてるおもった ”


    “ そうですか ”






    追うことはあっても追われることはあまり無いのですが、そんな理由を話した所でこの子供には無意味でしょう。



    この子供は、始祖様と同じようなことを言うのですから。



    任務で多少無茶をした時、決まって「心配をした」と私達の頭を撫でる始祖様に私を含め、仲間達は皆首を傾げています。






    暫く子供に手を引かれながら、いい加減屋敷に戻って始祖様に報告をしなければ。


    そう思い立ち止まった時、私の視界に捉えた黒い蝙蝠(こうもり)。


    どうやら私の様子を見に来たようです。






    “ 始祖様、任務については完遂致しましたが、屋敷へと戻るのは少し時間が掛かりそうです ”


    【あぁそうだったのか、気を付けて帰るようにね】






    仲間達にも伝えておくよ。



    私にしか聞こえない音波を使い、始祖様はそう仰いました。



    私はそれに頷いて、私を見上げる子供に軽く首を横に振り、再び歩き出した子供に手を引かれて歩き出す。






    やがて子供が歩いて行った先は、辺り一面に咲き乱れるダンデライオン(たんぽぽ)の花畑。






    “ たんぽぽ、みせたかった ”


    “ ······これを、私に? ”


    “ たすけてくれた、おれい ”






    嬉しそうに笑う、幼い子供。


    私から漸く手を離し、花畑の中に駆けて行くその背中を見詰め、私はその場で立ち止まる。


    次にどう行動を起こせば良いのか、私には理解不能で困ります。






    “ いっそ命じて下されば良いのですが ”






    暫くの時間が去り、私が心の中で呟いていれば子供が私を花畑に呼びました。


    何か用事でもあるのでしょうか、そう思い私が子供の傍へ寄ると、子供が差し出したのはダンデライオンで作られた花冠。






    “ 花冠、ですか? ”


    “ たんぽぽ、おなじ ”


    “ 私はダンデライオンではありません ”


    “ たんぽぽ、なまえ、しらない ”






    そこで初めて、私が名乗っていなかったことに気付きました。






    “ 私の名前は、サイバー三号です ”


    “さいば?さんご? ”


    “ いえ、サイバー三号です ”


    “ さいば!さいば、すわる ”






    どうやら私の名前は、さいば、と言うことになったようです。


    子供は私の名前を知れたことが余程嬉しかったのか、私を芝生のある場所に座らせて私の頭の上に先程作った花冠を乗せました。






    “ さいば、にあう ”


    “ そうですか······自分には理解不能です ”


    “ たんぽぽ、きらい? ”






    子供が私の顔を覗き込んで、少し悲しげな顔で呟きました。


    何故かそんな顔をさせたくは無いと、この子供には笑って欲しいのだと感じた私は、花冠の中にあったダンデライオンを一つ取ると、子供の耳の上の髪に差し込みました。






    “ 嫌い、と言う感情は理解不能です ”


    “ ? ”


    “ ······ですが、貴方にはそのダンデライオンのような人間で居て欲しいと思います ”


    “ !さいば、ありがと ”






    ダンデライオンのような子供は、そう私にメモを渡して再びにっこりと笑っていたのでしたーー······。
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