貴方から、貴方へ(サイバー四号ver.)。貴方から、貴方へ(サイバー四号ver.)。
私の名前は、サイバー四号。
今日も始祖様達の役に立てるよう、他の一号や三号と共に始祖様達の警護をしている。
始祖様達は私達よりも強いのだから警護は必要無いだろうと思うのだが、始祖様達は何故か私達を気に掛ける。
“ 始祖様、本日はどちらに向かいますか ”
「相変わらずお前は堅苦しいな。······いや、それはお前達皆一緒か」
私の書いたメモを見ながら始祖様······ジョニー様は他の始祖様達の警護をしている一号や三号を見る。
まぁ良い、と呆れたように溜息を吐いたジョニー様に私は目線を伏せた。
やはり、私には始祖様達を楽しませること等出来やしない。
せめて不快を買わないように離れて歩こうと一号や三号と目線を合わす。
“ 此方四号、其方はどうだ ”
“ 此方一号、異常は無い ”
“ 此方三号、同じく異常は無しです ”
頭に付いたアンテナで仲間内でのみ伝わる信号を出して頷けば、揃ったような動きで始祖様達の後ろに着く。
始祖様達はそんな私達を見て何故だか溜息を吐いたが、やがて始祖様達の周りに集まって来た人間達の対応に向かわれた。
その様子を後ろから眺めながら、私達は周囲に怪しい奴等が居ないかの気配を察知する。
今日は、幸いなことに始祖様達を狙う奴等は居ないらしい。
“ 今日も、始祖様達の周囲は異常無し ”
街は至って平和な日々である。
そう結論付けて人間達の対応を終えた始祖様達は、屋敷へ戻る為に踵を返す。
その手には、人間達から貰った沢山の手紙を持ちながら。
「さて、帰ろうか」
始祖様の一人が呟き、私達は頷いて再び後ろを歩こうとすれば始祖様の一人、ジョニー様が私の名前を呼んだ。
「これは、お前宛だ」
“ 私に? ”
ジョニー様から受け取った手紙に、私は首を傾げる。
宛名は無く、白い封筒に入れられた赤い蝋印の、シンプルな手紙。
私に手紙を送る者など······と中身を確認すれば、それは見慣れたあの方の文字。
『 戦う姿は見惚れるものがあるが、可愛いところも好ましいよ、例えばくしゃみとかな 』
“ !!? ”
まさか、油断していた。
勢い良く書いた本人を見れば、軽く笑って視線を逸らす。
「後はそうだな······これはお前達にだ」
『 ? 』
ジョニー様は何処か嬉しそうな、緩やかな笑みを浮かべて一枚の手紙を差し出した。
差し出し人の名前は、書いていない。
始祖様達の文字では無いその文字は何処か温かみを感じる筆跡で、私達は揃って首を傾げた。
『時々はねてるけど、髪がふわっふわで思わず撫でたくなるくらい好きだよ!是非振り回してもっふもふにしてください』
「あそこに居た人間からお前達全員に、だそうだ」
良かったな、と呟いて去って行くジョニー様の背中を見送り、再び手紙に目を向ける私達。
“ 髪がふわふわ?意味は分かるか? ”
“ 理解不能な言語です ”
“ しかし手紙に敵意は感じられません ”
ならば安全だろうと頷いて、私達は人間から貰った手紙を鎧の中に仕舞い込み、始祖様達の後を追うのだった······。