ヨシュネクの再会?「ふぅ…」
多かった宿題がやっとひと段落し、俺はうーんと伸びをした。
時計の針はぴったり重なって12を指している。もうそんな時間なのか。集中したあとの解放感は、なんだか心地良い。
ああ、そういえば今日は満月だったかな。おぼろげな今朝のニュースを思い出して、ガラガラと窓を開けてみた。すうっとぬるい風が首元を通り過ぎ、夜空に目をやってみると、大きくてきれいな月が光を放って浮かんでいた。綺麗だったので、思わずしばらく見つめていた。
そうだ、みんなにこの満月を教えてあげようか。机のケータイを手に取って、ポチポチと写真機能を呼び出す。ちょうど画面の中央に被写体を持ってこようとするが…この小さな画面だと、大きさ、わかりにくいかもしれないな。パシャ、とフラッシュがたかれる。
まあ、ライムは確実に寝ているとして、ビイトはどっちかな。あいつは身体が大きいし、寝る子は育つっていうし。シキは…今どきの女子だし、ガールズトーク?でもして、意外と夜更かししているかもしれないな。
…じゃあとりあえず、シキに…送ってみようか…?
「へぇ〜、案外大胆なことするんだね?」
「うわあっ!?」
突然、耳元で男の声が聞こえた!ケータイを勢いで壁へぶん投げてしまった。
「あらら、図星?」
男は顎に手を当てて、余裕たっぷりに笑う。そんな仕草をする奴は、俺は1人しか知らない。
「ヨシュア!?どうしてここに?」
「…じゃあさ、ひとつアドバイスするけど、窓くらい閉めた方がいいと思うよ?」
「だからって堂々と入ってくるやつがいるかよ!」
窓だってさっき開けたばっかりだし!どんな隙をついて俺の部屋に侵入してるんだよ。まったく、わけのわからない奴だ。
体中が一斉にバクバク鳴っているのを感じる。ヨシュアのそのにやけた顔がちらっと視界に入るたび、また鼓動が激しくなる。ろくに連絡もつかなかったくせに、どうしてコイツは急に現れて、そして前みたいに調子を狂わしてくるのか。
____お前も来るよな。
あの時の淡い期待は、彼には届かなかったらしい。だから、アイツはもう自分達とは交わらないのだと、何度も自分に言い聞かせて、心に空いた穴を必死に埋めようとしてきたのに。どうして平然とそう、俺の前に現れることが出来るのか。俺はまだヨシュアのペースに巻き込まれ続けているのか。
…だけど、そんなコイツの姿が今、目の前にあることが、本当は、何よりも…
「ねぇ〜、僕にはどんな風に送ろうとしてたの?…あれ?耳まで真っ赤な上に、なんだか泣いてるように見えるけど、ネク君大丈夫?」
「う、うるさい!泣いてなんかない!それに、お前には一文字も送ろうとなんかしてない!」
視界がぐっとぼやける。にやけながらわざわざ指摘してくるヨシュアに反論しようとしたが、俺の詰まった声じゃどうしたって説得力がなかった。