前日譚 なんて言おう
なんて言ってくれるかな
わくわくするような
そわそわするような
秘密の宝物を抱えて家路を急ぐ
急いで帰っても彼がまだ仕事中なのは分かっていたけれど。
□ □ □
お医者様は、厳しい目で、私の顔をちらりと一瞥してため息をついた。
(なんだろう…勘違いだったのかな)
そう思って少しがっかりした瞬間に、目の前のモニターのカルテを見ていた先生が
「あ、御影さん、ご結婚なさってる なんだ、そっかそっか、良かった」 と、声を出した。
「おめでとうございます、ご懐妊ですよ。第5週かなぁ、まだちょっと小さすぎて確定出来ないけど。よくこんな早くに気がつきましたね。」
さっきの厳しい目がウソみたいにニコニコされて、私もつられてしまう。
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