唇から呪いを注ぎましょう その日のことを、五条は鮮明に覚えていた。寒い冬の夜の事である。その日は両者とも任務があり、全く別々の任地で与えられていた任務を熟していた。五条の任務はいつも通り等級の高い呪霊の討伐で、何時間とかかることなく終了した。あちらの任務は確か廃村にある呪物の回収だったかと空を見上げたときのことである。スラックスのポケットが振動し、五条は丁度終わったのかとスマフォをいつも通り取り出す。きっといつも通りの落ち着いた低音が聞こえてくるのだろうと画面を見た彼はしかし、映し出された予想していた名前とは違う者に目隠し越しに一つ瞬きをした。虎杖悠仁。任務に出る前、確かに聞いていた同行者の名前に嫌な予感が胸を過る。一拍おいて画面をスライドさせた五条は画面を耳に当て、焦っているであろう生徒に応答した。
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