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    んぴよ

    哲右、石右、新右中心

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    んぴよ

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    風新 ○○しないと出られない部屋ネタ

    今、火種は作られた。とある部屋に閉じ込められた俺と風間は、その部屋の中から脱出するただ一つの方法を実行することを決意した。
    「新堂……本当に、いいんだな?」
    「おう。気が変わらない内にさっさとやろうぜ。」
    「本当に本当に、しちゃうからね?いいか、絶対後から文句を言うんじゃないぞ!」
    「だから、良いって言ってんだろ!」
    そのはずだったんだが、相手も自分も了承したはずのことに対する問いを、延々と繰り返される羽目になっている。
    「そりゃあ、お前も俺も、男同士で好き好んでこんなことしたかないってのはわかるさ。だがな、ここで永遠に閉じ込められてつまらない一生を終えるくらいなら、お前とやってやっても良いって言ってんだろ!いい加減、お前も覚悟決めろよ!」
    「なっ、わかっているとも!でもさ、この僕がこんなことを君みたいな野蛮な輩にしてしまったら、君は僕以外じゃ満足出来なくなってしまわないかい?なんたって、僕はテクニシャンもテクニシャン……その頂点に立つカッコマンだよ?数多の女の子を泣かせてきたこの僕と……云々クドクド……」
    「ならお前が目瞑ってじっとしてれば良いだろ!俺はさっさと終わらせて家に帰りたいんだよ!」
    「そらみろ!君はその恋愛経験の少なさがあだを成して、僕と付き合いたいだなんて思うことだろう!そして君はその腕っぷしで無理やり僕を手篭めにしようとするとは!ああ、なんて恐ろしい奴なんだ君は!」
    とまあ、何とも無駄なやり取りが何往復も続き、目の前の意気地無しに任せていちゃあいつまで経ってもこの部屋から出ることは不可能だと確信した俺は、こいつの想像通り力任せにその唇を奪ってみせた。
    ガチャッ
    「お、本当に開きやがった。ったく、趣味の悪い指示だったぜ。」
    「……」
    先程までペラペラと無駄話を続けていた風間は、硬直して口を金魚よろしくパクパクと、言葉を紡ぐことなく開閉するだけだ。
    「おい、風間?時間制限があるかもしれないし早く出ようぜ。俺も、今日のことは忘れるからさ。」
    何か忘れている気がするが、これ以上無駄な時間を使うことに意味はないだろうとそう告げる。
    一向に動く気配を見せない風間の手をとると、強引に外へ出た。
    「ここ……旧校舎か?」
    「…………」
    「おい、俺はもう帰るからな。黙りこくって、気持ち悪い……何とか言えっての。」
    風間の頭をもう何回叩いたか数えるのもやめた頃、ようやく口を開いた。
    「き、君ねぇ!どうしてあんな情緒のないやり方をしたんだ!もっとロマンチックなやり方はなかったのかい!?ああそうか、君は経験値が低いからね!僕の満足するレベルのキッスは出来なかったわけだ!は〜これだから野蛮な奴は嫌だよ本当に、これは500円をいただかないと収まりがつかないなあ〜!」
    今度は、俺が口をあんぐりと開けて、怒りで口を閉ざす番だった。
    (俺にされるのが嫌だったら、お前がさっさとやれば良かっただけだろ!)
    俺が握った拳をどれだけぶつけてやろうかと、腕を上げかけた時だ。
    「どうせなら、僕からしたかった…………。」
    「は?」
    「へ、変な意味じゃないぞ!君は義務的に唇同士ををくっつけるだけだったが、キッスがそんな子供みたいなもので終わるだなんて、あの部屋の設定の馬鹿らしさ……嘆かわしいね、全く!」
    そう、吐き捨てるように言った風間は、俺の横を通り過ぎていくと振り返る。
    「新堂、置いてくよ。早く帰りたいって言ったのはお前だろう?」
    「ああ……。」
    腹を決めるのにあんなに時間がかかっていたのは、つまり…………俺と、一瞬唇を合わせるだけではないキスをしようとしていたから?なんでまた、そんなことを?
    そんなことを考えているうちに風間はスタスタと歩いていく。
    俺も後を追って歩を進め、なんとはなしに、部屋から出る時したように風間の手を取ってみた。
    「っ!?」
    大袈裟なまでに肩を震わせた風間の反応が面白くて、その手を指でなぞってみる。
    「なっ、なに?新堂……?」
    「ん……。」
    触れている面積は少ないのに、体温は手から指、手首にと伝わって、身体を中心に向けて集まってくるような気がした。
    (俺は……どうしてこいつの手なんて握ってるんだろうな。)
    ふとした疑問はしかし、風間が俺の手を振り払うことでうやむやになる。
    風間の耳は、真っ赤に染まっていた。
    「あははっ!」
    「〜〜〜バカ新堂!!」
    (……まさかな)
    俺の頬も熱が篭っている。その熱の意味を深く考えないようにしながら、俺達はまた旧校舎の出口へと進むのだった。
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