他人は勝手にくたばってろアイゼングラートは、寒い。
視界も怪しい豪雪の中、生まれたてのガキすら知っているような常識をあたしは恨んだ。
「だー!やってらんないわよクソボケ!こんなクソ寒いところに高貴なあたしたちを二人だけで派遣するだなんで、脳にウジでも湧いてんじゃないの!?」
「そうだね。隣で余の鼓膜に仇なすウジ虫から順に始末していかなくてはね」
「やぁんお姉さま、言ってくれれば黙るのにぃ」
この豪雪よりも冷たい声が、あたしに突き刺さる。くるりとその方向へ顔を向けて、笑顔。けれどつれないその人は、あたしを見向きもしなかった。
極寒の中での任務。しかも派遣先の事情により少人数派遣。更には車掌もいないという劣悪な労働環境。そんな中、お姉さまの不機嫌さはあたしの苛立ちを上回っていたらしい。
9122