ここは花道、また来て奈落冗談のように美しいおとこだと思った。どこかでズルでもしているみたいに。

初めて会ったとき、ほんの一瞬だけそう考えたことを思い出す。あっという間に覆された第一印象だったから、今まですっかり忘れていた。忘れていたから、目を奪われてしまった。だから私は、壁に貼りたくられたポスターをただ見つめる。

写真の中でゆらりと微笑む彼は、すっかり一般名詞として膾炙された顔をしていた。印刷されているからだろうか。切り上がった目尻だって、人に害のないようすっかりやすり掛けされて見える。春の訪れを囁く淡い髪色に、濤乱刃の虹彩。脱色された皮膚の上で、持ち上げられた唇の端にだけ赤が滲んだ。赤だ。その色はほんの少しだけ意識をささくれ立たせるけれど、それだけ。殺傷能力なんてとんでもない。

初音ミク16周年に寄せる思い出話私が初めて初音ミクを知ったのは、数多の人間もそうであろう千本桜だった。
私は小学生のときにブラスバンドに入っていた。4年生の3学期、6年生である先輩の卒業コンサートのための練習を聞いていた。私のいたブラスバンドでは毎年3月中旬にコンサートをしていて、それが6年生の最後の舞台であり、6年生だけで一曲演奏できる一回だけの機会でもあった。
運良く見ることの出来た楽譜には千本桜とあった。大好きだった先輩が練習していたこともあり、何回か聞く中で曲として好きになっていたので家に帰ってすぐに検索をかけた。そして聞いた。
衝撃だった。
人間じゃないものがこうも美しく歌うのか。それまで特段好きな音楽がなかった私は一気に落とされた。取り憑かれたように初音ミクについて調べ始め、そのままボーカロイドのことを知った。

迈尔斯：
迈尔斯：我啊。刚认识你的时候，感觉就像在照镜子一样不可思议。…但是，我后来才发现这想法有多愚蠢。你的人生，你的伤痛，你的抉择，那不是任何人的镜像，不是编排好的事件，那是独属于你一人的命运。我对你…不但一点都不了解，反之还充满了误会。在爱上你后才明白到了这点，真的，我真的是…太自大了。
迈尔斯：我连你的痛苦都不能明白，却妄想着能抓住你，就这么自顾自地给予爱情…
迈尔斯：直到“分别”的概念摆在面前，我才明白害怕寂寞的实际上是我。我明明就是…如此需要你，却装作满不在乎的随意模样，一厢情愿地做着自以为正确，实际上却只是傲慢的傻事。我夺去了你重要的东西，却没能照顾好它，无论我是懊悔还是辩解，都不可能改变这事实。