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    ヤの夏×バーテンダー男主。
    墜落の4話 後編「シンガポールスリング」

    完結!

    ##夢術廻戦
    ##男主

    シンガポールスリングパーティは途中から大人の馬鹿みたいな宴会になり、賑やかだった。五条も素面で酔っているのかというテンションだし、医者だという女性もいるので安心していたら、彼女もザルのように飲むので心配になった。顔色が変わってないから強いのだろう。
    こうしてみると普通の人たちだ。俺は彼らがヤクザな仕事をしているところを見ていないから言われなければ気付かないだろう。
    何ら変わりのない人に見える。そこまで思って、俺は何を言い訳してるんだろうかと内心で狼狽えた。
    酔ってるのかもしれない。あんまり彼らが楽しそうで当てられたのかもしれない。
    ひっきりなしに出席者が声をかけに来るので、俺まで参加者みたいだった。楽しかったと思う。
    冷えた水を少し飲んで気を落ち着かせてテーブルを少し片づける。そろそろお開きになりそうな雰囲気だった。
    帰る人も現れ始め、俺も役目は終わりかと帰り支度を始める。0時までの契約だったが、とうに越していた。夏油には延長も弾むと言われたので、遠慮なく居たがそろそろ頃合いだろう。
    「柏木さん」
    呼びかけてきたその声に手を止める。顔を上げると、夏油が近づいてきたところだった。
    「今日はありがとう。君のカクテルは美味しいよ。作っている姿は見ていて楽しいしね」
    「それは夏油様だけだと思います」
    「どうかな。君の評判が良いことは確かだよ」
    それから少し黙って、夏油は一歩近づくと、身を屈める。どきりとしたところで、耳元に唇を寄せられた。
    「1時間後に部屋に行く。待っててほしい」
    ぞくりと背筋が震えるような声だった。
    俯いた俺の返事を聞かずに、夏油は離れていく。俺はポケットの中のカードキーを意識した。
    一時間後。
    考えるまでもなくそういうことだ。
    カードキーをフロントに返すイメージをする。
    『後悔する選択はするな』
    オーナーの声を思い出す。
    カードキーを返して帰るべきだと分かっていた。でも帰ったら後悔するとも分かっていた。
    向けられた色々な表情を思い出す。
    俺はエレベーターに乗った。

    スイートと言うだけあって、室内は広く、高層ホテルなので覗かれる心配がないせいかソファの置いてある部屋の壁一面が窓になっていた。一望できる夜景は綺麗だが少し怖いくらいだ。
    シャワーを浴びて、ほかの服を持っていないためにベストを脱いで、フォーマルな格好のままソファに座り、夜景を眺める。
    今帰ったら二度と会えない気がした。断るということはそう言うことだ。
    俺は夏油と友達でも嬉しいかもと思ったが、一度恋をした相手に友情を抱くのは難しいことも知っていた。もう会えなくなるのは嫌だ。でも、彼の職業で俺の周囲の人に翳りが出るのは怖かった。
    こんなに欲を張った覚えなんてない。でも、初めて欲しいと願うのがこんな関係だなんて、救いようがない。
    帰ろう。
    一時の感情に煽られてるだけだ。もう少し考えさせてくれとフロントに言伝すればいい。
    部屋を出て、ちゃんとドアが閉まるのを確認した。それからエレベーターの方へ向かおうとして、前に立ちふさがった人影にぞっとする。
    「帰るのかい?」
    「げ、とうさま…………」
    「今は様はいらないよ。傑って呼んで」
    ジャケットを脱いで少し気崩している夏油が、一歩足を進めるので俺は思わず下がった。そのまま背がドアに着くまで後ずさる。
    「げ、……傑さん、あの、俺」
    「うん?」
    ぞっと背筋が冷えた。伸びてきた腕が俺の顔の横につけられる。上からのぞき込まれるようにするその表情は、微笑んでいたが目は笑っていなかった。捕食者の瞳だ。
    「っ」
    食い散らされる想像に逃げ出すにも体に行く手をふさがれている。とんでもない選択をしたのだと今更ながらに理解したが、もうどうしようもなかった。
    「良かったよ。予感がしたから約束より早めに来たんだ。君を失わないで済んだ」
    左腕を掴まれて引っ張られる。体格の良い体に収まってしまう自分が、そんなに細身というワケではないのに華奢に思えた。背後で鍵が開く電子音がする。抱きしめられたまま部屋に連れ込まれた。
    「すぐるさ、」
    「私はちゃんと逃がさないって言ったよ。祐那」
    抵抗もあっさり流される。荒事に慣れてるのは本当だった。ソファに座らされて、すぐ隣に夏油が膝を上げて座った。
    近づいてくる顔に目閉じると、キスをされる。触れるだけのそれが離れていくのに目を開けると、もう一度キスをされた。シャツの胸元のボタンが器用に外されていく。肩をあらわにされて首筋に顔をうずめる夏油にとくとくと心臓が早くなり始める。
    「ん、……っん……ふぁ」
    深くなっていくキスに、無理やりにぼんやりさせられるようで、抗う感情が消えていくのを止められない。
    ちゅ、と首筋にキスをされてびくりとする。
    「す、ぐる……」
    「ん?」
    「……ベッドが良い」
    消えるくらいの小さな声音で言うと、分かったと夏油は俺の手を取って立ち上がる。ベッドルームに行く途中でも何度もキスをされる。ちろりと唇をなめられて、溶けそうだと思った。
    薄暗くされた室内でベッドに座らされる。
    はだけられた胸元、心臓の位置にキスをされる。柔らかく乳首にも触れられてこれからすることを意識した。
    「ぁ……」
    乳首をなめられて吸いつかれる。胸で感じるほど経験はない。くすぐったさと夏油にそうされているというだけで興奮しそうだった。くりくりと刺激される感覚が変な感じで顔をそむける。すると腹にキスをされて、夏油の手がスラックスにかけられた。思わず身を起こすようにすると、大丈夫、と安心させる声で言われる。下りてくる唇を受け入れる。同時に、器用にベルトが外されて、軽くボトムをずり下ろされた。ボクサーの下着の上からもむようにやわやわと触られる。
    「キス、気持ちいい?」
    少し勃っているのが知られてしまったせいか、そう問いかけられてこくこくと頷く。
    「舐めて」
    夏油の指が口の中に入ってくる。舌を、上あごを擦られ、柔らかく口の中を愛撫されて涙目になった。あっという間に濡れた指で、下着からペニスが取り出される。
    「っ」
    塗り付けられる感触に顔を背けた。なぜかひどく恥ずかしくて、まともに顔が見れない。ゆるゆると扱かれ始めるのに、自分以外の手の気持ちよさを知っているせいで、余計に期待してしまう。
    「っ、……ッ」
    手の甲を唇に押し当てて声をこらえないと、はしたない声を上げてしまいそうだった。女の子よりも掌が大きくて気持ちいい。ぐり、と丁度いい強さで推されながら擦りあげる裏側も、途中でもまれる袋も、同じ男同士で分かっていると言わんばかりに責め立ててくる。あっという間に勃起してしまったペニスの先端を親指の腹でぐりぐりと去れ、息を飲んだ。
    「声を聞かせて」
    「い、やです」
    「そう。君は強情なんだったね」
    手を引きはがされてキスをされる。
    「んっ、んぅ……ッ、んんっ。ッぁ、あ、やだ……!」
    手で扱かれたくらいで声を上げてしまう自分が情けなくて、逃れようとするとそんな声が出てしまう。歯を噛みしめて顔をそむけても、どうしても声を抑えきれない。とろとろと自分の奥底が溶けてきているのが分かって、このままじゃ声を上げることすら疑問を覚えなくなりそうだと思った瞬間、手を早められて悲鳴を上げた。
    「ぁっ、や、だ。でる……ッ、出る、から……ッ!」
    「イっていいよ」
    甘い声で囁かれて、耐え切れずに手の中に吐精してしまった。精液で手を汚してしまったことに申し訳なさと感じていると、また擦られ始める。
    「あ、」
    「触るよ」
    ゆるゆると左手でまた扱かれながら、今度は後ろに指が振れる。人に触れられるのは初めてなのもあり、羞恥で顔も体も熱い。口を撫でられてから、つぷりと指がはいってきたのに黙って耐える。ゆっくりと奥まで指が入ってくるのに、凄く時間がかかった気がした。もともと受け入れる場所じゃないとは分かっているが、この後、ちゃんとセックスをするのに大丈夫なのか心配だった。そう思った瞬間に、またキスをされる。考えが読まれているのかもしれないと思った。この人ならありそうだ。
    そんなに丁寧じゃなくてもいいのに、と思いながら大事にされているのを感じる。
    「ぁっ、んん……ッ」
    「苦しい?」
    「だいじょ、ぶけど、こすらな、……ひっ、あ、あ、また出……ッ」
    指の違和感よりもペニスを弄ばれる気持ちよさが勝ってしまって、指が三本になる頃には、もう一度射精させられていた。
    「っ」
    ふいに指が擦りあげたところからぞくぞくと背筋が震える感覚がして、息を飲んだ俺は、続けざまに擦られてびくりとする。
    「ぁ、な……に?」
    「前立腺、見つけられて良かった。男を抱くのは君が初めてだから」
    どちらも経験が豊富そうだと思っていたが、初めてだったらしい。目を瞬いた俺は、夏油が遠慮なくその場所を刺激するのに悲鳴を上げる。
    「ぁ、待って、それ、やだ、やっ、っ……!!」
    刺激されているだけで、触られてもいないのに勃起していくのが分かる。散々、教え込むかのように触られて、大きく息をついた俺は、ようやく指がゆっくりと引き抜かれてほっとした。でもその動きだけでも、ぞくりとする
    どこに視線を向ければ良いのかわからずに、ただ横に顔を背けて羞恥に耐えていると、声をかけられる。
    「挿れていいかい?」
    顔を覆いたくなる問いかけだった。
    「……聞かないで、ください……」
    「君の口から赦しを聞きたい」
    そう言われて顔を夏油に向ける。視線を上げて夏油と目を合わせて、俺は頷いた。
    「来て」
    先端が当てられて、触れる肌の熱だけでくらくらしそうだ。足を持ち上げられて開かれたあられもない姿が恥ずかしいのと、ゆっくりと押し入ってきた質量に息が詰まる。思った夜するりとはいってくるそれは、思ったよりも奥まで侵入してくるのに慌てた。
    「あ、待って、も、はいらないから……っ!」
    「まだ半分も入ってないよ」
    「!?」
    目を見開く俺に、くつくつを笑いながら夏油はさらに深くまで入ってくる。苦しいと見上げれば、宥めるようにキスをされる。その間もはいってくる感覚が、ようやく止まったときには、大きく息をついていた。優しく腕や太ももを撫でられた。
    それから夏油が自分のシャツのボタンを外す仕草が酷くいやらしく見えて、心臓がまたどきどきと脈打った。
    「……ッ!」
    両胸に刺青がはいっているのが見えて息を飲んだ。蓮の花だ。そのまま背中まで続いているような、そのカタギの体じゃない姿に目が釘付けになる。
    「……怖い?」
    「怖くはないですけど……」
    「そう。ごめん。君が逃げるんじゃないかと思ったからわざと今まで脱がなかったんだ」
    「……だと、思いました」
    手を伸ばして刺青に触れる。熱い肌に眩暈がする。それからその首に両手を回して抱き着くようにした。驚く夏油の気配に少しだけいい気分になる。
    「俺、信用がないんですね」
    「違うよ。私が臆病なだけ」
    シーツを背の隙間に手が差し込まれて、ぎゅっと抱き返される。熱い体に頭がぼんやりしそうだ。。首筋に顔をうずめられるとぴったりと体が重なった。
    「君が迷っているのを知っていて私は君に選択させたんだよ。君が、不安になっているのは私と付き合うことによって被る不利益を考えてくれたんだろう?」
    それから夏油は小さく笑う。
    「私に寄ってくる女の子達はそんなこと考えないよ。みんな一晩楽しく過ごせればいいと思っている。でも、君は私との未来を考えてくれてるんだね」
    「俺だって臆病だから、ですよ」
    それから俺も笑ってその頬をなぞる。
    「それにあなたが怖いから。……怖いのになんで逃げられないんだろう」
    「祐那」
    俺を見下ろす夏油の表情は苦しそうで、そんな顔をするなら、最初から全部曝け出しちゃえば良かったのに。
    冷静な声をしながら、俺の中の質量は重さを増して熱い。
    「……動いていいよ」
    キスをして抱きしめられる。くっついたままゆっくりと腰が動き始めるのに、自分を苦しませるその相手の体に縋った。しっかり抱きしめ返されるのに安心する。
    「は、……ぁっ、……あ、んんっ」
    大きさには慣れないのに、徐々に動きが滑らかになってくる。
    彼に抱かれているのだと思うと何かが暴れ出しそうで、体が勝手に興奮していくのに気持ちよさすら感じるようで。
    「んっ、ああっ、あ、ん……ふ、ぁ……」
    「可愛い声になってきた」
    「お、こります、よっ、ああっ!」
    ぞくっと背筋を走った快楽にはっとした。その俺の反応の見て、夏油は同じように腰を動かす。そのたびにぞくぞくと腰の奥に熱が溜まって、悲鳴を上げた。
    「あっ、ああっ、ま、て、これだめ、……ッ、ひぁっ!あっあっ……!」
    シーツに背を押し付けるようにして何とか逃れようとするのを夏油の腕が許さない。捕らえるように抱きしめたまま、夏油は腰を打ち付けてくる。登ってくる感覚が知らないもので、身を竦ませようにも、次々と穿たれるせいで理性を立て直せない。
    「ああっ、や、だ……ッ、やだ、すぐるさ……ッ、あ、あ、これ、これだめ、だって、言って、あああッ!」
    「イくところ見せて」
    「やああッ、や、だめッ、だめぇッ!ほんとにイっちゃう……ッ!」
    動きが早められていく。肌を打つ音と、乱れた呼吸の音が室内に響いている。頬の触れて顔を上げさせると、扇情的に眉根を寄せる彼の顔に、ちゃんと気持ちいいんだと分かってほっとした。
    「あッあっ、ふ、んんっ、ん、んぅ……ッ、ふ、ぁ」
    余裕のないキスをされる。シーツの上で指先を引きつらせるように足をも出せさせると、より深くに穿たれて仰け反った。
    「あっ、あっ、深、い……ッ、あああっ、だ、め、……だめっ!あっ、イく……ッ!」
    自分よりずっとしっかりした体に縋りつく。優しく首筋にキスを落とされた。
    「あっ、ああっ、イ、く……ッ!イっちゃ……!──あああああああっ!!」
    びくんっと体が跳ねてそのまま何度も震える。感じたことのない絶頂に、何も分からなくなった頭で、全身を痺れさせる快楽から逃れようと自分を抱きしめてる体を掻き抱いた。
    「っは、あ……」
    精液で自分の腹が汚れたのが分かった。傑のことも汚しちゃってるだろう。
    必死で呼吸をして、戻ってきた思考に、まだぼんやりとしていると、体を少し離した傑がキスをしてくる。それに応えてから、くったりとシーツに背を預けた俺は、俺を見下ろしてる傑にため息をついた。
    「なんで、イってないんだよ」
    「そう責められてもね……」
    苦笑した傑にまた手を伸ばす。
    「あと一回しか付き合えない」
    「良いよ。ありがとう」
    そう言ってから傑は俺の耳元に唇を寄せる。
    「君を溺れさせるのが目的だからね」
    その言葉に自分が晒した痴態を思い返して顔をそむける。低い小さな笑い声と共に、抜かないまままた傑が動き出したのに、俺はまた、翻弄されていった。






    「ああ、彼か。寝ているよ。無理させたからね」
    ベッドルームをちらりと見やり、夏油は電話の向こうの相手にそう返事をする。
    脱ぎ散らしたスーツやバーテンダー服はきちんとクローゼットにかけてある。今は夏油はバスローブ姿だ。衣一つない姿のままの自分の恋人のことを思い返しながら、夏油は続けた。
    「……そう。君の余計な気遣いのおかげではあるね。まあ何かしらで返すよ。でもその前にいくつか頼みがあるんだ」
    軽い承諾の声。
    夏油は一口手にしていたカクテルを飲む。これは自分で作ったものだ。彼と話をするためにわざわざ勉強した。彼はIngaの時が初対面だと思っているようだが、別のパーティ会場でも会っている。大勢の参加者の一人で、彼の仕草に見惚れて声をかけることが出来なかった。
    「と言ってもだいたいは自分でやるけど、彼の周囲を固めてしまうのに、組の力を使う許可が欲しいんだよ。このまま変に逃げられでもしたが、厄介だからね。連れ戻すのは印象が下がるし、出来るなら何も知らないまま、柔らかい覚悟だけで私のそばにいてほしいんだよ」
    笑う声が聞こえるのに、夏油は嘆息する。
    「私だってそんな可哀そうな真似をしたくはないんだけどね。仕方ないだろ。それに」
    怖い。と評していた彼の声を思い返す。
    普通のヤクザ相手ならそれくらいで済むだろうが、夏油が五条組のいわゆるナンバーツーだ。それだけで済むはずがない。
    気付いた時にはもう遅い。自分から離れられなくなっているはずだ。
    夏油は言う。
    「もともと、彼に選択肢なんてないんだよ。逃がすつもりは、ひとかけらもなかったからね」
    こっえーやつ。
    なんて声がしたのに、夏油は彼を起こさないように声を潜めて笑った。
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