熱くなるのは君にだけ(朔夜の第一印象?)
目を瞬かせ、朝日奈は輪の中でスタオケメンバーの飛び交う意見に、置いてきぼりにされていた。
「儚さ…かな?」
「陰が付き纏っているな。」
「……アンニュイ。」
朝日奈は、スタオケメンバーが総じて口にする、〝陰、暗〟に疑問符を浮かべるばかり。
皆の印象、目を閉じて浮かべてみる。
木枯らしの中、乾いた葉が舞い散る…その中の朔夜。
……違った。
朝日奈が、初めて彼に抱いたイメージは…
「朔夜は、等しく安らぎをくれる、夜の月だよ。」
ピタッとメンバーの声は止んだ。
見合わせ、そうか…と納得する声が上がる。
「まぁ…第一印象がそれなら、俺たちとは違う訳だな。」
桐ケ谷は後頭部を少しかきながら、ふうっと息を吐いた。
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