「浩平…」
洋平が俺の名前を呼ぶ。双子の弟が発する声は俺のものと同じであるはずなのに、熱を孕んだそれはどこか聞きなれなかった。
「浩平、痛くないか?」
「ああ、洋平こそちゃんと気持ちいいか?」
「気持ちいい…すごく」
洋平の目に浮かぶ涙を見て、俺は自分もまた泣いていたことに気づく。
幸せだ。
体の重ねた場所から互いの熱が伝わり、ドロドロに溶けて混ざり合う様な錯覚に陥る。元々ひとつだった俺たちにとってこの情事は、これ以上ないほどに自然なことに思えた。
「浩平、もう出る……ッ!」
「ん、ぁああっ!……うぅ、ふぅ、ぐすっ」
身体の一番奥で熱いものが弾け、腹の中にじんわりとした温かさが広がる。それとほぼ同時に俺も果ててしまい、全身がガクガクと震える。
「好きだよ、浩平」
耳元で囁かれる言葉を聞きながら、俺は意識を失った。
***
翌朝目を覚ますと、既に太陽は高く昇っていた。隣には昨晩散々愛し合った片割れがいる。まだ眠っているようだが、その寝顔はとても穏やかで満ち足りているように見えた。(夢じゃなかった)
ぼんやりとする頭でそう思った瞬間、じわっと目頭が熱くなる。
「んー?浩平起きたのか?」
「おはよう、浩平」
俺が起きた気配を感じ取ったのか、洋平は目を開けた。そして俺の顔を見ると優しく微笑む。