「わがままで、ごめんなさい」わたしの全てが奪われる。でも、その全ては偽りで成り立っているもので、「神様」の犠牲で成り立っているものだから、なら、そう、そうだよね。そうなるのも、当然か。……とうぜん、かぁ……。
泣きたくなった。でも、終わりが近いと理解した。最後まで、どうか、と願って。去りゆくその姿に縋りつこうと震える手を祈りの形に結んで止めた。
かみさま、これが、わたしの罰ですか。
そして、当日。目が覚めた顔は真っ白で、苦笑しながら血色のいいメイクを施した。隈を隠して、頬紅をひいて。
それでも、スティックを持つ手は、震えてしまった。
……それでも、最期の本番までは、どうかと、願ってしまった。
願って、しまったの。
***
その本番。夢のステージで、うららは凄惨たる絶望をみた。朋友が倒れる姿をみた。血だらけになって倒れる世界を見た。やめて、と叫ぶことすら出来ずに、そうして聞こえてきた声に、うららは、——希望を、見た。
予定調和のような絶望のなか、うららは、たしかに希望の光を見た。
かみさま、かみさま。わたしの世界を奪った、かみさま。ねえ、でも、これまで積み重ねてきたその全てが、……あの子たちのなかに降り積もっているのなら。
あの子たちの、明日に、つながるのなら——
「……奪って、ください。わたしから、全てを奪って……」
ちがう、奪われるものなんて、もうわたしにはなにものこってなんか、いなかった。
涙があふれる。
涙があふれる。
ああ、神様。
罪も罰も、受け入れます。
だから神様。お願いです。
涙が、溢れて、落ちた。
返すから。
偽りの全てを返すから。
「……っ、わたしにのこる、全てを、返すから!だからっだから……っあの子たちを、生き返らせて……!」
——承知した。
……ああ、神様。
声が聞こえる。夢が終わる。救いが終わる。わたしの世界が、終わりを告げる。
うららは、たしかに、その時笑った。