恋なんてもしかしたら、トウマはオレのことが好きなのかもしれない。
悠がそう思ったのは、自分の肩を抱く熱を意識したからだ。
歌番組の収録終わり。
機材トラブルで時間が押して、TV局を出たのはもうすぐ二十二時を超えようかという時間だった。
家の近い者から順番に、巳波、虎於、と送られ、残ったのは悠とトウマふたり。
車内に会話という会話は特にない。夜も遅いし、騒ぎたい気分ではない。それを誰も気にしていなかった。
車の走行音だけがBGMだ。何を言わなくてもいい、心地よさ。
その居心地の良さに意識がうつらうつらしてきた頃、「ハル」と名前を呼ばれた。
うとうとしながらトウマのほうへ顔を向ける。
「寝るなら俺の肩使って寝ろよ」
トウマはそう言うと、悠をぐっと引き寄せて自分の肩に寝かせた。
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