たとえ陽が落ちても陽が傾きかけていく。もう少しで薄暗くなるだろう。そしてそろそろこの場を去らなければならないのをフェニックスは残念に思っていた。いつも半ば押しかけ気味にここを訪れているが、マーヴェリックはいつも快く受け入れてくれた。それが嬉しくて、次もまた、と欲張るのだ。昼間よりも涼しい風が吹く。それがまた今日の別れを急かしているようで小憎たらしく思った。
「……そろそろ」
「帰るのかい?」
そういうマーヴェリックの顔も残念そうに見えるのは、そう思いたいだけだからだろうか。フェニックスは尚更帰りたくなくなった。押しかけるとはいえ、その機会はそうそう多くは無い。日が登りかけ、日が落ちる前までのその時しかいられない場合がほとんどだ。陽は完全に落ちかけ暗くなりつつある。自分を置いて勝手に沈んでいく太陽を、フェニックスは憎んだ。
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