『≠理不尽祭り』
本日、10月31日──。
「お前の持ってるその菓子を寄越せ。さもなきゃ悪さするぜ」
どーん。
と、言い放った人物は緑頭の長身の男で、切れ長の眼をこれでもかってほど凶悪に眇め、黒髪の少年を睨めつけた。
だらけきった月曜の朝の教室が、いっぺんに凍りつく。
言われた本人は自分の席の自分の椅子に座ったまま、ぽかっと口を開けてその生徒を見上げていたが、
「いやだ」
……一蹴。
でっかい眼をキッと釣り上げても、どこかあどけなさの抜けない彼はバッチリ童顔だがなぜか迫力がある。
バチバチと二人の間を火花が散った。
この菓子は今日限定の特別製で、朝イチに売店へ並ばなければ手に入らない超レア物なのだ。絶対に渡せない。兄にも食べさせる約束をしているのだ。
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