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    七海こいと

    @k_1123M

    彼と私の大切な思い出の保管庫
    所謂自己投影夢と言うものですが
    本気で彼に恋をして愛しています

    〝fgoの少年悪漢王〟
    彼に好意を抱いておられる方は
    お引き取りいただくことを推奨します

    頒布物を置いていますhttps://pictspace.net/x5pagxx5xw

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    七海こいと

    ☆quiet follow

    雪の夜の話

     しん、と静まり返った雪の夜。
    積もったばかりの新しい白を踏む音が、ふたつぶん。
    頬を撫でる空気の冷たさが、より一層、もうひとつの温もりを心地よく感じさせる。

     「この寒い中、なんで手袋も持ってこないのさ」
    半ば呆れ顔の金髪の青年に、「だって忘れちゃったんだもん」と、焦げ茶の髪の娘が笑う。
    彼女の右手にしっかりと付けられている黒の手袋は、もちろん彼女のものではない。
    片方の手は手袋、もう片方の手にはお互いの手を持って、サクサクと軽快な音を立てて歩いて行く。

     「あ!あの星すごい明るい!」

     指さした先で、小さいながらも確かに光を発するその星は、今はもう、とっくに無くなっているのかもしれない。
    生きていた、と言う証のみを放って、後は消えていくだけなのかもしれない。
    それでも、ふたりが今この光を共有しているのは事実で、だからつい、叶いもしないはずの事を願う。

     ずっとそばに居たい、と。
    その不確定な眩さ故に願うのだ。

    全ての音を吸い取ってしまう、真っ白な世界で、その願いはきっと、星だけが聞いていた。
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