晴れ、ときどき猫 夏も終わろうかという頃の非番の朝は、強烈な衝撃で目が覚めた。
「ぐわっ⁉」
突如パンチを食らわされたような感覚と、胸の上の圧迫感。おそるおそる目を開けた僕の視界いっぱいに飛び込んできたのは、一匹の紅い猫だった。
「え?」
ねこ。ねこだ。まごうことなき猫が僕の胸の上に乗っている。正直めちゃくちゃ重い。猫って軽そうに見えるけど、こんなに重いのか⁉
それに無茶苦茶でかい。たまにネットで両手で抱えるほど大きな猫の画像を見かけるけれど、実在したのか……。
「えっと、君……どこの子?」
真紅の美しい毛並みをしたその猫は、戸惑う僕の上でくあぁと大きなあくびをした。射貫くような緑色の瞳が、朝日を受けてすっと細められる。
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